さん
その時、ピコンという軽快な音が体育館に響いた。
三者三様の反応をした私たちだけど、最終的に取りだすものは同じ、スマホだった。
まず目に入ったのは、参加完了の文字。
スリープ画面にタブとして表示されるそれを見て、《指令》を思いだし溜め息をつく。


「《参加完了》って、絶対ゲームに参加って意味だよね。・・・あ、ほら!」


二人にも分かって貰おうと指令を開くと、案の定先程の指令には完了の二文字が。
画面を二人に向け、二人の顔が照らし出されたときに、ふと気付いた。


「・・・あ、涼太?」


スマホの光に照らされる、元チームメイトの名前を呼ぶ。
え? と呟きこちらを凝視する、モデルにあるまじき表情のそいつの頬をつまむと、相変わらずの手入れの行き届いたお肌。


「へ? な、なんで!? え? え?」
「え、いや、分からんけど。落ち着け?」


涼太は 混乱 している!
幸音は 隣の男の子に 話しかけた! ▼


「君は高尾和成君でしょ?」


名前を言い当てると高尾君はきょとんとした顔でこちらを見つめたかと思うと、人のよさそうな笑顔でにかっと笑った。


「よく知ってんなー! あ、因みに俺も君の事知ってんだぜ? 茶倉幸音チャン、だろ?」


真ちゃんがよくキセキの事話すんだよなー! と話す高尾君に、今度は私が驚いた顔をしていたようで、涼太と高尾君に笑われる。


「私がさつきだったらどーしてたのさ。容姿まで話してんの? 真太郎。」
「そりゃ、月バスで見た事あるかんなー。"キセキの世代、敏腕マネージャーに密着!"つって? 桃井チャンと茶倉チャンが一緒に取材されてたやつ!」
「・・・あれは、忘れたい!」
「えぇー、なんでッスかぁ! あの時、桃井っちも幸音っちも可愛かったっすよ?」


そう・・・あの取材のとき、取材の人からのリクエストで私達が帝光のユニホームを着たのだ。
あれは色々と恥ずかしかった。バスケのユニホームって腕とか丸出しだし。
しかもそのあと彼ジャーとか言って部員のジャージ着せられたし。

・・・なんかムカついたので煩い涼太の頬をつまみ引っ張る。


「り、理不尽ッス!」
「さーて、照明探そうかー!」
「おー、そうだな! いつまでも画面の明かりだけじゃ辛いだろ。」
「幸音っちも高尾っちも無視なんスか!?」
「ちょw いつの間にか高尾っち呼びにww」


そのあと少しだけ騒いだ後に、照明のスイッチを手分けして探すことにした。
やはり、一番探しやすいのは高尾君かな。と思ったけど、暗いと鷹の眼は使えないらしい。
よく考えればそうだよね。視野が広くなるのに、そもそも見えなきゃ駄目か。

別に視野が広くても広くなくてもライトで照らしながら壁沿いに歩けばすぐに見つかるでしょ。
そう考え、壁を照らしつつ歩く、と。


「お、あったあったー! 点けんぞー!」


と、高尾君の明るい声が響いてきた。
すると、数秒経ち何度か点滅してから照明が点く。
急に体育館中が明るくなり、手を目の上にかざす。


「おぉー。明るいッスねー!」
「まっぶし! あ、高尾君ナイス!」
「へっへーん! 尊敬してくれていいんだぜ☆」


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bkm


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