しとしと・・・


       しとしと・・・



雨は止まない。


先生が・・・行ってしまってから・・・ずっと・・・待っているのに・・・帰ってこない。
そんなの、理由は知ってるよ・・・


でも、わかってるのに・・・諦めきれない俺様って悪い子なのかな・・・?


あれから笑っているけれど・・・なきそうなんだ、先生。




「佐助・・・」



あぁ、でもね・・・先生。
今はかすがも一緒に居るよ。

お互い一人ぼっちで寂しいから・・・一緒に居るんだ。



「ご飯、作ったから・・・ 」

『うん・・・』

「・・・終夜さんたちは、帰ってこないんだよ?」



シトシト


シトシト・・・



雨は止まない。
かすれそうなそのかすがの言葉を聞いて、開いていた目を閉じる。


思い出すのは先生の笑顔。

最期の笑顔・・・。


でも、先生は昔言ってた。


忍は人知れず死ぬものだって・・・



何度も、何度も、繰り返されるこの世界の中に居るのが酷く辛いんだ。


笑うことに疲れたんだ・・・
泣くことに疲れたんだ・・・


水の外に放り出された魚みたいに・・・この世界で呼吸をすることが・・・酷く・・辛いんだ・・・


でも・・・先生は・・・いきろって・・俺様に言ったよね・・・

だから・・・俺様は生きるよ・・・

生きなくちゃ・・・



『うん・・・』



瞳を開いて、縁側から立ち上がる。
そうすればホッとしたようにかすがは微笑んだ。



『かすが、明日、越後に行こう。』

「越後に?」

『うん、かすがの・・・かすがたちの家。」




だから、少しでも先生達の生きていた証が見たい。





一歩ずつでも、進まなくちゃいけないことを、俺様は知ってるから





執筆20130128





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