佐助の絶望した顔が忘れられない。
決めたことなのに、その顔を見たとたん、胸が痛くなった。
女々しい、なんて軽いものじゃない。
忍として、あってはいけない感情のはずなのに・・・
「何が良い?」
そう聞けば佐助から返って来た言葉は俺と居るなら何でも良い、なんて、
俺にとって都合の良すぎる言葉だった。
まるで、知っているような・・・
いや、そんなはずはない。
あの予知夢があった日から、この屋敷にはたとえ、俺の部下だとしても入れていないし、何より、幹部の連中が此処を知っているわけが無い。
颯斗とも連絡を取っていない今、佐助が知る余地がないんだから・・・
今は・・・佐助とともに居れる時間を大切にしようと・・・
「なら、城下にでも行った後、森で修行でもするか。」
『うん!』
なるべく、思い出を作ろうと・・・そんなことを言っていた。
こんなの、俺の一人よがりなのに・・・
佐助にとって、深い傷になるというのに・・・
あーぁ、やっぱ、俺って酷い奴だよな・・・
執筆20130126