一度崩れたものはもう2度と戻りはしないと、俺はわかっていた。
わかっていたはずだった。
イタリア・マフィア。
その頂点に君臨するボンゴレ本部の一室にて、古い一枚の写真を眺めながら、青年ー沢田綱吉ーはひとつため息をつく。
写っているのは若かりし両親と、小さな自分。それからその中で唯一の黒髪もつ少女。
「なつみ…」
ぽつりとこぼしたのは、たった一人の片割れの名。もう2度と戻らない、唯一の。
「もうすぐ、7年になるんだね。」
俺が過ちを犯して。お前が消えて。
ーーーーー吐き出した言葉は誰に拾われることもなく、反響して消えた。
201803
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