51
誰だって隠しておきたいことはたくさんある。
それは心の奥の奥。
誰にも知られないぐらい奥にそれはある。
きっと、君はつらいだろう。
だけどそれを誰にも打ち明けられないのは確かに、苦しいね。
ね?
苦しいね?
ウランデイインダヨ?
【ほんまに大丈夫なんか?】
『大丈夫だって言ってんでしょうが』
苦笑いしながら電話越しで話をする。今は神奈川に帰って来たが、そんなに酷くも無いのに強制入院。おば様酷い。
まぁ、そんなこんなを報告する為に今病院の公衆電話前に陣取っているわけだが、なにぶん大学病院なわけで人が多いうえそれに、何より病院だからか悪寒が酷いしある手のいじめだとも思ってしまう。
『ところで、財前くんとは入れ違いになっちゃったけど、大丈夫そう?』
【俺やったら心配せんでもえぇで】
『あ、こんにちは財前くん、 元気そうで何よりだよ』
でも、心配なこともあり、そういえばと聞けば何時の間に電話を変わったんだろう、向こうから聞こえてきたのは今回原因の一人だった。
電話越しでも出来れば笑顔にと、そういえば「そういうお前は体中に火傷したんやって?」という少し不安そうな声が聞こえるがごめんね、スルーするわ。あぁ、とそれに小さく息を吐いてしまったが、壁に背をつけた。
『うん、でも全部軽いものだし、念のための入院だから。』
【もし嫁の貰い手が無かったら俺がもらってやる】
『は?』
【今度、来いや、そんときはうまい甘味処連れて連れていってやるさかい】
なんて些細な会話のはずだったのにもかかわらず、いきなりそんな話をされて固まったのに【それじゃきるで】なんて勝手に切られた。・・・えぇえ・・・
『(まぁ・・・いいか・・・)』
禁書も、のろいも解けたんだから…なんて軽く考えてしまうのは私の悪い癖なのか…大体こういうあとは何かしらあったりするんだよ…
なんて少しげっそりしてしまうのだが.久しぶりに眼鏡をかけて、屋上へと出ることにした。
.