01

 走る汽車のなか、
顔の整った黒髪の青年が1つ舌打ちをした。
外は冷たい風が吹き荒れているのだろう。停車した列車の窓からは分厚い雲が流れる様子が見てとれる。


青年の名は「神田 ユウ」。「黒の教団」のエクソシストである。


彼は今現在、すこぶる機嫌が悪い。
そも、「エクソシストの仕事」としたらそれは彼の仕事上仕方のないことなのだが、機嫌が悪い理由はそれだけではない。気持ちがせってしまっているから余計なのだろう。


 目が覚めない愛しい人と離され、自分がかした約束の期限まで後数十分。
自分が言い出したことに責任を持たない奴が彼は嫌いだが、それを自分がしようとしている。

なにより、離れているのが酷く不安になるのは、今日がいつもよりも肌寒く感じるからだった。
任務先で訃報は受け取らなかったから大丈夫だという自信はあるが、それでも多少不安に思うのは彼女の状況からだろう。



けれど、なにより自分が知っていることがある。
それは彼女は絶対に約束は破らないということ。そうわかっているからこそ、余計に気持ちが急くのだろう。

汽車がホームへと到着する。
静かに黒髪をなびかせて彼は降り立った。



Holy Night




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