「さっさと目ぇ覚ませよ。」


そう、同じ言葉をかけて何度目だろうか。
備え付けの椅子に座り、冷たい手を握りしめたまま、思いだすのは俺と同じだった黒髪だった時の姿。
今はその面影もない。雪のような白。

喧嘩して、話さなくなって初めてその存在の大きさに気がついた。残念ながらあまりにも気が付くのが遅い。
まだ、俺はこいつにその言葉を告げることはできない。やり残したことが多すぎる。


「目ぇ覚めなかったら手紙の返事はやらねぇからな。」


だから、さっさと目をさませ


●−Ｔruth−●


もうすぐ告げられる、あまりにも悲惨な過去に、
あぁ、俺は何も知らなかったんだと、思い知らされる。



.