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「リナ殿ー!!」
『ぎゃ!』
背中から突撃された。
その衝撃に女の子らしからぬ声を上げてしまったが、私の首に後ろから回された手は解けることは無いだろう。
私からすれば「破廉恥!!」と大騒ぎする彼だが、自分のほうがそういうことをしていることを理解していないと思う。
っていうか、
『真田、離してくんないかな?』
「や、でござる!
リナ殿リナどのリナどのリナどの!!」
『怖い怖い! そんな名前連呼しなくても聞こえるから!!』
周りの目が痛い
だがしかし、みんなどこか当たり前のように見ているのがちょっと辛いのだが。
しかたない、知ってるよねみんなは。
私に抱きついているこの人物。
真田幸村は私よりも1つ下の学年の熱血馬鹿。
同級生の猿飛佐助と同じ寮に住んでいたはずだが・・・
あまり詳しいことは知らん。
だがしかし、体育科の武田先生とよく授業中にじゃれあいという名の「殴り愛」をしているというのは授業中に良く聞く話だ。
いや、怖いこと無いのだが、その力のまま私に抱きつかれたら私は窒息する気がするのだが・・・
まぁしゃぁない。
しゃあないのさ。そこはね。
最悪猿飛の力を借りて引き剥がすし。
そのたびに猿飛が大変なことになっているのは知っているけどね。
『真田、あんた部活は?』
「今日はおふにござる! リナ殿といっしょに帰りたくて待っておりました!」
『そんな事してないでダチと帰りなさいよ。』
「リナ殿は某と帰るのは嫌と申すか!」
『だって、私なんかといても面白く無いでしょうが。』
盛大にため息をつく。
しかたないだろう。私にとって彼は後輩で、彼にとっての私は、なんか変な立場にあるのだから。
だが、私から言えば、注目の的になるのは正直避けたいから遠慮して欲しいのだが・・・。
言っても無駄だろうな。
だって犬だし。
「そんなことありませぬ!
某にとってリナ殿と一緒にいるだけでこの心が酷くたぎるのでございまする!」
『たぎるって・・・
第一に、アンタ彼女作りなさいよ。』
「なっ! 破廉恥でござるよ!」
『女の子に後ろから抱きつくのは破廉恥ではないと、』
「うむ! リナ殿はいいのでござる!」
なんて、考えていたらいきなりそういわれた。
だってまるでそれは私は女の子じゃ無いといっているようじゃないか。
あぁ・・・うーん・・・
それはそれで反応に困るのだが・・・
『私、嘘つく人嫌いよ?』
「う、嘘ではござらん!!」
『しつこい人も嫌い。』
「うっ!?」
まぁ、とりあえずそろそろ人の目が気になるから離してほしくてそういえばゆるゆるとゆっくり手が離れる。
やっと開放されたと、鞄を持ち直して歩き出せば、なぜか、今度は手をつかまれた。
「っ・・・」
『え、ちょ・・・っ!!』
そしてそのまま走り出される。
小さく悲鳴を上げてしまったが、ひょいっと軽く持ち上げるように横抱きにされて浮遊感が私を襲った。
鞄を両手で抱きかかえてしまったが、そんな私に目もくれずに走り出す。
後輩のはずあのに、やっぱり男だと思ってしまうのはしかたないだろう。
っつーか私重いのに・・・
それからしばらくそのままで、やっとおろされたのは校舎裏。
丁度桜のあるばしょ。
壁に押し付けられるようにおろされてしまえば逃げる場所は無い。
『・・・そこどいてよ・・・』
「いやだ。」
『!』
「俺のことを見ない、リナ殿が悪い。」
それから、とにかくどいてほしくて、そう言ったのにもかかわらず、いつもより声が低く、そして何よりも・・・
『ッいい加減にしてよ!!』
「・・・」
『いきなりなんだっての。』
いつもの口調ではない。
逆光のせいか、酷く恐怖を覚えてしまった。
そのままぐっと耳元に真田の顔が近づけば体がこわばってしまう。
「リナ殿、俺は本気だ。」
『っ・・・!』
そして、低いその声で言われたら、体が固まってしまうのはしかたないだろう。
ギャップが強すぎてついていけない
*-*もしも幸村が後輩だったら*-*
《あんた、黒・・・っ》
(さ、某の家に行きましょうぞ、)
《いやいやいや、おかしいでしょって!!》
*-*-*-*-*-
ゆっきーは春バサで後輩・部下にしたいランキング1位でしたよ。
執筆日 20130401
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