蒼い閃光を放った小十郎が駆ける。
ただ一直線。松永に向かって、



「てめぇは駄々をこねる餓鬼と同じ…いやゴミ以下だ!!」



その切っ先に揺らぎはない。
未だ立ち込める砂煙の中をかけていく



「まさかとは思うが…その体で私に勝てると思っているのかね…?」



あざ笑い。松永が吐きだした言葉に、小十郎の足が止まる。
周りの空気が違うことを、彼は感じ、そして、急激に襲ってきた痛みに、喉を押え表情を崩した。

息苦しい、よりも、詰まる。
体の奥からの痛みに、膝をついた



「この香はな、卿がすでに吸っている毒と身のうちで致命的な効果を生む秘薬だ。」



笑みをこぼし、右手に構えた刀で小十郎を襲う。
目にも止まらぬ剣さばき。

完全に押されている小十郎はそれを何とか受けることしかできない。
加勢しようとした幸村が駆けだすも、爆弾兵の奇襲にあい空中へと吹き飛ばされてしまう。

そんな幸村を空中で抱きとめるのは、



「佐助!」



先ほど、松永の起こした第一の爆発に巻き込まれた佐助であり、「迂闊だぜ、旦那」と口角を上げ、近くの地面へと着地し、幸村を下した。
そんな佐助に「無事であったか」と幸村が告げれば「当たり前でしょ、俺様を誰だと思ってんの」と笑う。
だが、そんな空気を裂くように金属音。

二人の視線がそちらに向かえば、膝をつき、松永の刀を押える小十郎の姿がある。



「竜も、そして虎も、しっぽの先を惜しんでいてはすべてを食らわんとする魔物を相手に生き延びるのは難しい。まして天下なぞ言わずもがな。そして厭世と物欲に生きる私にすら決して勝てはしない。」

「てめぇの御託は聞き飽きた…。あのおかたはそれでも…!」



押され、押され、刃が近づく。と、松永の表情が陰った。
少し先、そこには佐助。

刃を交える二人に向かい、何かを投げつければそれは破裂し、同時に小十郎と松永は距離を取る。
その破裂後、緑色の煙をばらまいた。

次いで、幸村が槍の風圧を利用し、その緑の煙が充満するよう、元あった砂煙を散らす。



「片倉の旦那!毒消しの炸裂弾だ!深く息を吸え!」



忍だからこそ成せる技。
佐助の言葉通り、深く息を吸った小十郎の視線は少し、和らいだ。

それを阻止せんと、松永が剣戟を食らわせるももう遅い。

先ほどとは見違えるような動きでそれをかわした小十郎は少し距離を取り、詰めていた息を吐く。



「もらうぜ、松永久秀」







射干玉の闇に光一つ






彼が掲げた稲妻は、



20160905

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