「某には、勿体のうお方にございました。」
突然、声を掛けられたかと思えば真田は私にそう言った。
そばには猿飛もいた。
泣きそうな顔で私へと言った真田はそのままへらりと笑うと「あの方を無条件で笑顔に出来るのは貴殿だけにございますから」と、そう言って頭を下げた。
なぜ、と言う前に、おそらく私が伊達に接触したのと同じく、千代に接触したということだろう・・・。
「貴様に言われる筋合いもない。」
「まーまー、そういわないでさ
一応俺様は先輩だってのに。」
「私には関係ない。」
私の頭の中には、伊達が私に見せたあの書類のことだけが頭に残っている。
だが、あいつの笑顔を見るのは、私だけで充分だと、そう思う。
「それは、安心でござる。
では、これにて」
その笑顔のまま駆け出していった真田。
しかし、猿飛は奴を追いかけず、私の元に残っていた。
何故に?と思っていたが、答えは明白。
振り向いた猿飛の目は鋭い
「別に邪魔する気はないけどさ、
なんか、ヤバイ奴等が うろうろしてるみたいだから気をつけなよね」
俺様からの忠告、気にしといたほうがいいよ。
と最後に言って、猿飛も真田の後を追った
それに、秀吉様から頂いたものを置いていくのは少々戸惑ったが・・・
木刀をいつもの竹刀袋に入れ、そして道場を出た
執筆日 20130731
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