「・・・そうでござるか。
 千代殿はしっかりと記憶を・・・」



政宗殿からかかってきた電話に、ため息を付いた。

電話機の奥から、「あぁ」っと相槌が打たれる。
その言葉の意味はすぐにわかる。



「(あぁ、やはり俺には・・・)」



千代殿は、もったいない・・ということだろうか?

失恋同然の恋をしたのは重々承知だ。


それでも、諦めたくなかった。
ただ一人の太陽を・・・届かなかった光を・・・。


手に入れたかった。




【で、お前に一つ頼みがある。】

「頼み?」

【Yes、俺は石田を説得しに行く。理解出来んだろ?】



なのに、酷く政宗殿は残酷なことをする。


俺の思いを知っているはずなのに・・・

本当、酷い一つ目の竜にござる。




「その使命、しかと受け取りました。」




だが、あの太陽が笑まないこと。


それが一番、俺にとって重要だ。




執筆日 20130712



×