あの日・・・


儂は生涯の友を殺した



愛していた、慕っていた、そんな大切な人を、儂は殺した。


10万という多くの仲間と、一人の友を天秤に掛けて、儂は強い絆を断ち切った



『独眼竜・・・儂は・・・』



己が子を産み、育てるとは微塵も思っていなかった
だが、これは女としての生。
正しいことだ。


儂が望んだ泰平の世はもう、創る事が出来ただろう

もう・・・



「・・あぁ」

『もう、いいよな、
 儂は・・・儂はもう・・・』


子も、もう大きくなった。

ならもう、儂はいらない。
もうあれから何年もたつんだ。
もう、いいだろう・・・もう・・・



『自由になっても・・・いいよな?』



儂はずっと人質だった
いろいろなところをたらいまわしにされて、織田が滅び、秀吉殿を儂の拳で・・・



そして・・・一番大切だった・・・何よりもそばに居たかった・・・三成を・・・


我慢しきれなくなった涙が零れ落ちる。



絆、

そう、ずっと問いかけておきながら儂は多くの矛盾を犯した

一番、愚かで罪深いのは儂なんだ

もう、ずっと・・・終わらせたかった




「あぁ、もう自由になれ、
          千代」

『っあぁ、ありがとう。』




竜の言葉に、小さく笑った






*-*光の証言*-*


関ヶ原の戦いをすべし、東の将・・・徳川家康が


その日、忽然と姿を消した








《三成、私はお前を愛していた》




執筆日 20130523




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