「三成、顔が怖い。」

「・・・」



刑部の言葉に、静かに視線を向ける
顔が怖い、といわれたが私は生まれつきこの顔だ。

そうは良いたいが、なによりも刑部に病気はなく、確かに少々体は弱いが、昔よりかは良いだろう。

だが、今の問題は、それではない




「主が考えていることは丸分かりよ」

「・・・」

「徳川家康・・・否、千代のことよ」

「・・・っ」



刑部の言った何、視線を手元に戻す。

ヒヒっといつものように笑った刑部は大分確信犯だろう


「主も真、愚かよ、オロカ」

「だが・・・」

「雑賀や海神の巫女のように接すればよかろう
 あやつは何も知らぬ女子よ。

 そう考えれば万事解決」

「・・・」



その言葉に、再び押し黙る。

あぁ、そうだ。

刑部の言うとおり・・・

だが・・・


私は・・・あの約束を無化はしたく・・ないのだ




「私を・・・忘れるな・・・忘却・・・するな・・・」



死に際に放ったその言葉。

千代には、届かなかった



きっと何かがあったのだろう、何かが・・千代に・・・



だから・・・・千代はあんなにも離れたところに落とされた




執筆日 20130601




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