昔々


今からずっと昔の400年前


かつては美濃と呼ばれしその場、関ヶ原にて

戦い散った武士と散らなかった武士が居た。


死したものが幸せなのか

生きたものが幸せなのか


きっと誰にも分からないだろう。



『三成・・・すまない・・・すまない・・・っ
 儂は・・・っ私が・・・っ!!!』



死するものを想ひて

涙を流す東の娘


「私は、貴様を許さない・・・
 家康・・・私を忘却するな・・・」



生きるものを想ひ

散った西の罪人




この二人もまた・・・時の流れに翻弄された




『なぁ・・・もう・・・疲れたんだ・・・私は・・・』



一人生き残ってしまった娘は静かに空を見上げて微笑み



美濃は関ヶ原
彼の罪人を討ち取りしその場所で




『忘れてなんていないさ・・・
 いないよ・・・三成・・・



 そっちに行くから・・・許してくれ・・・』



その笑顔は酷く儚くて

そして



『次は、戦わない
 私の創った太平の世で・・・どうか・・・



 お前に会いたい・・・っ』






終端の光


始まりの闇








執筆日 20130522



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