殺されたとき、あいつは泣いていた。
私は身体すら動かせず、ただ手を伸ばせばすがるような体温が心地よかった。
お互いにお互いの血に濡れ、そして家康は・・千代は泣いていた。
あぁ、だが・・・
私のせいで・・・千代が苦しんでいると思えば・・・
最期に言った言葉は千代には届いたか分からない。
心のうちに人一倍闇を溜めやすいのにな・・・
私は、一人さまよっていた。
闇の中で・・・
すぐにここが地獄か、否ということが分かった。
長い時間をかけて、千代を待とうと思った。
アイツが来るのは秀吉様が治めるはずだった世を、泰平のものにした後だろうと・・・
だが、
ふわりと、すぐにアイツの光が私よりも少しはなれた場所に現れた
何故、何故だ・・・
確かにお前は私とともに多くの民を、兵を殺した
だが、逆に・・・
貴様は・・・日ノ本を正したのだろう・・・
何故?
「(千代・・・っ)」
何故だ、
何故、そんな離れた場所にいる。
もう、終わったのだろう
ならば、こちらに来い。
来て・・
あの頃のように・・・
執筆日 20130527
×