ユーリ様リクエスト
幼少期創造
彼女の名まえは?
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その子の第一印象は、とても弱そうな子だと思った。



まだ、俺様が武田の大将に仕えたばかりのころ…。

たったひとこと「真田へ参るぞ」と言われてついていった。

天井裏からそれを聞いていた俺様が本来なら降り立ちもしない謁見の間に降り立てばそこにはぼろぼろな奥方が一人。
目にたくさんの涙と、ほほにたくさんの涙の筋の残して頭を下げていた。

なんで?って思ったけど、大将はそのまま「お前はそれでよいのだな。」と奥方に聞く。
どういう意味?かと思ったけれど



「あい、あの子がわらうために…
 っあの方や、あの子を守ろうとした長男も…きっと今の現状をみたら悲しみます…

 童ももう耐えられませぬっ」



あぁ、大将はこの人の子供を助けに行くんだって、
本当お人よしだなって思った。






でも、それも一変する。



真田の屋敷についたとき、大将は先に子供がどんな状況かを確認して来いといった。
どこの部屋かと、考えを張り巡らせていたにもかかわらず大将は座敷牢に幽閉されているといったのだ。

半信半疑で座敷牢に忍び込めばそこはたった一人の女の子しかいなかった。



大きすぎる檻の中のすみっこで小さくなって丸まって眠っている一人の女の子。
手入れもされていない髪は座敷牢の床に散らばって…


どれぐらい幽閉されているのだろうか、それはおそらく身の丈をゆうに越しているだろうと思った。



見ていて、痛々しいけれど…

これなら簡単に殺せると思った。





『だれ?』



でも、だ…
完全に気配を消していたはずなのに…
眠っていたと思っていたのに…


ゆるりとその眼を開いて俺様のいる天井をしっかりとみて…そういった。




『もうすぐ、ひとがくるよ…
 だから、弁丸のところに、きちゃだめ…』



それは、その子の口から出るには酷すぎる内容で…
あまりにもふびんで…外に分身を放って花を摘んでこさせて、牢屋の中に放ったけれど…



興味なさげに目を閉じてそれを視界から消していて…





あぁ、どうしたらいい。
どうしたら小さなこのお姫さんに笑顔を運べるの?

ぐるぐる、ぐるぐる。
考えた。

主でもない、ただの子供に…




「して、佐助。」

「ひどく、衰弱しているようです。
 女中が運ぶ膳も口にせず…

 時たまに現れるくノ一の運ぶ軽食のみ取る模様。」

「やはり、心を閉ざしているようじゃな。
 
 もう少し様子を見ておけ」

「御意。」




大将に報告して、それからもう一度天井に忍びそれからあの牢屋のところへと言った。
シュタリと、彼女の閉じ込められている檻の前に着地すれば、俺様が散らした花を一つ一つ集めてめでていた

それに小さく驚いてしまったが、ゆるりと顔を上げた彼女は月明かりに照らされて…




ひどく、美しかった。




『またきたの。』

「…」

『ねぇ、なまえは?』

「…佐助と。」

『さすけ…さすけか…』



名を呼ばれた。
そのことが、ひどくうれしかった。

うれしくてうれしくて…そっと、牢屋に近づいて手を伸ばしてみた。


ちょこんと牢屋の隅に座っていた小さなお姫様は不思議そうに首をかしげていたけどゆっくりと立ち上がって、俺様の手に触れた…。

血に濡れた手に…濡れた。



『はやくもどれ、さすけ。
 おまえはここにいていいにんげんではない。』



わたしは、ひとごろしだ。
どうぞくごろしだ。


だから、きてはいけない。


いっそ、わたしをころしてくれ





小さな子供から出るには…似合わなすぎる言葉。
何をこんなにもこの子は恐れているんだろう。

ただ…おびえているだけじゃない。



「あのね、俺様も同じようなものなんだ。」

『…?』

「もうすぐ、迎えに来るからね、
 だから、その時には…答えて。」



大丈夫、大将は姫さんのことを助けてくれるよ



ぽんぽんっと頭をなでて、

人の気配を感じてしゅっととんだ。


執筆日 20130826



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