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『少し休みませんか、身体に障りますから。』
あれから、数日。
私は、完全に半兵衛様付きの軍師もどきになった。
半兵衛様は大谷様に・・といっていたけれど、三成さんに半兵衛様の仕事を手伝う、といえば、「刑部には伝えておく」といってくれ、私はこっちに集中できる。
別に頭の回転が言い訳でも、忍のように多くの情報を持っているわけでも無いけれど・・・
でも、彼はあの時、言ったのだから、
「いや、大丈夫だ。」
『なら、この話し合いが済んだら少し、お茶にしませんか?
次の戦はまだ少し先、私のような下っ端が言うのはなんだと思いますが、倒れられたら元も子も無いですから。』
「そのときの為に、」
『今の私には、まだ策を練る力なんて皆無ですから、無茶言わないで下さい。』
ほら、また言った。
毎日のようにいうようになったこの言葉に、さっそくため息しか出てこない。
なんで、治すことよりも・・・壊れることしか望まないのか・・・。
私には・・・わかんない・・・。
近くにあった薄い羽織を、座っている彼の肩にかける。
それに、半兵衛様は首をかしげたが、私としてはちゃんと体調管理をしてほしいのだ。
今だって、凄く顔色が悪い。
本人は気がついていないけれど・・・。
『半兵衛様、貴方はもっと自分を大切にするべきですよ。』
「弥月君・・・。」
『秀吉様は、きっと、まだ貴方を失えない。
三成さんだって、家康だって、半兵衛様はかけがえの無い人です。
私にとっても・・・貴方は私を見出してくれた人ですから。』
だから・・・せめて秀吉様の天下までは、しっかりと生きて欲しい。
否、これからもずっとずっと生きて欲しい。
でも、それは明らかに世界の理を崩すもっともいけないこと。
だから、彼の生きるという思いにかけるしかないのに・・・
「ありがとう、 なら、ちゃんと僕の後ろを護ってくれ。」
僕を長く、秀吉のそばに立たせてね。
なんて、儚く笑うものだから、
いっそ、秀吉様に告げ口をして、当方に休養に出して欲しいと、本気で思った。
多分、彼は死ぬギリギリまで秀吉様のその背を守り抜く為に軍をひきいる。
それが叶わずとも・・・大谷様や小十郎さん・・最悪私を後釜として用意している。
さっそく、抜け目が無いのだ。
だけど・・・
『勿論ですよ。 秀吉様が、天下を治めたのを、天守閣から見ましょう。
それから、京に行って祭りにでて、天下を取れば、奥州の彼等も呼んで、上田城の桜を見に行きましょう。
ほら、言ったじゃないですか、私に・・・何か芸を見に付けろって、私頑張ってるんですから、』
たくさんの可能性を呟いてみる。
そうすれば、きっと、生きたいとおもう彼の気持ちも芽生えるだろう。
人は何よりも笑顔であって欲しい。
それが・・・たとえ戦で散ろうとも・・・
「あはは、楽しみにしているよ、弥月君。」
『はい。』
だから、そんな苦しそうに笑わないで。
桜のように儚く散ってしまいそうじゃないですか
執筆日 20130311
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