04
(37/45)
たった一言「入るぞ」といわれ、答えるまもなく、開けられる障子
そこには私と同じように着流しを着ている石田様が居て、私を見て目を細めた。
そしてそのまま私の横まで歩いてきて腰を下ろす
『どうかなされましたか、石田様?』
そんな彼にそういえば、石田様は私を見た。
首を傾げれば「何故だ」なんてきかれた。
何が、だ。
「貴様は、家康は家康、半兵衛様も秀吉様も名を呼ぶ。
何故私だけ姓で呼ぶ必要がある。」
『え、あ・・・ご不満でしたか。』
けれど、そう言われて、さっきまで考えていたことが飛んでいく。
いきなり考えが変わったことに対してはあまり言わないが、うん、だって心が読めるわけでも無いし。
『・・・三成様。』
「!」
『三成さん。の方がいいですか?』
「・・・それでいい。」
でも、ノリでそういえば、彼は驚いたように私を見た。
もしかして、呼ばれるとは思わなかったのだろう。
こっちがキョトンッとしてしまったが彼は照れくさそうに私から視線をそらした。
『じゃあ、これからは三成さんって呼びますね。』
だから、柔らかく微笑んでまばらになってた髪を耳にかける。
それから、月明かりに照らされる彼を見れば銀色の髪が、輝いてる。
綺麗・・。
「弥月。」
『何ですか?』
なんて思っていれば、彼が私にグッと手を突き出した。
首を傾げて彼の拳の下に両手を差し出せば、コロンっと落とされたのは紅の石・・・宝石に詳しくは無いが、ガーネットとかそこら辺のものだと思う。
それをつけた、小さな首飾り
「貴様にくれてやる。」
『どうして?』
「刑部から女はこういうものが好きだと聞いた。」
意味が分からなくて、思わず聞いてしまえば彼は私から視線をそらしてそう言った。
その頬が若干、赤くなっているのは気のせいだろうか・・・。
でも・・・
『嬉しい。』
「!」
『ありがとうございます。』
初めてだ、
この世界に来て、戦いで使うもの以外での私の私物は。
月の光に照らせば、その宝石はキラリッと淡く光った。
執筆日 20130308
戻//進
表