想イ輪廻 | ナノ

06


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「すまないな、邪魔をして。」



小十郎さんが去って、家康の第一声はそれだった。
笛を片手に家康を見れば、いつもの目じゃない。


何かを・・・決めた目。



『どうしたのさ、家康。』

「少し、聞きたいことがあってな、」

『聞きたい、事?』



疑問。

私から家康に質問することはあったけれど・・・

家康からは初めてで、首を傾げれば彼は気まずそうに顔をそらした。



「こんなことを…弥月に聞くのはどうかと思うが・・・


 弥月は秀吉殿をどう思っているんだ?」



けれど言われた言葉につうっと嫌な汗が流れた



私は、大事な事を忘れていたんだ。








この世は戦国。



今の世は豊臣で・・・次は・・・徳川・・・



『家康・・・』



確か、本当の史実は豊臣秀吉の方が年下で、死因は病死。


でも、この世界の中は違う。


現実味も無い。

そんな力を使う人たちがいる



だから… 史実が本物とは限らなくて、



見つめられたまっすぐな目から視線をそらした。




『私は・・・いえない。

 秀吉様は私に居場所を下さった一人で・・・大切な人。』

「なら・・弥月はこの世を… 今の世をどう思う?」

『今?』



小さく呟く

今の世・・・

私には・・・私には… 





『…失われる大切なものが多すぎる世界。』



悲しすぎる世界。

涙を流す人が絶えない世界


だから今の日本があるけれど・・・

戦国(今)の世界は好きじゃない。






でも、そう・・・



そう思えるぐらい・・・





私はこの世界になじんでいたんだ。








*-*烏兎匆匆*-*


ならば、儂についてきてくれないか?





家康の言った言葉を



私は、ただ、聞くことしかできなかった




*-*-*-*-*-


月日の過ぎるのが早いさま。


執筆日 20130307


 
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