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宴を抜け出した。
何故って・・・一番は酒のにおいに耐えられなかったから。
一応半兵衛様には言ってきたから大丈夫だとは思うけれど
『・・・涼しい。』
小さく呟く。
さっきまで人口密度も高かったから余計にそう思えるんだろう。
顔を上げれば見えるのは満月。
そういえば上弦の月は政宗の・・・というよりも、伊達軍のイメージがあるけれど・・
満月は・・・多分・・・
『石田・・・三成・・・』
あの人のイメージがある。
闇の中にある光。
私の勝手なイメージだけれど。
でも・・・暖かい光を・・・あの人の心は持ってる。
それを表に出せないだけで、でなきゃあんなこと言ったりしない・・・
『って・・・今思えば、すっごく恥ずかしい・・・。』
小学生以来だ
あんなの・・・しかも、一応上司の前で・・・なんて・・・
思い出すだけで顔が赤くなる。
お酒のせい(いや、一滴ものんでないが)にしてパタパタと手で仰ぐ。
でも・・・随分と私もこの世界に慣れたと思う。
最初の頃はアレだ・・・うん。
部屋から出なかったし・・・
まだ、二月ぐらいしか居ないのに・・・
あーうん・・・どうなんだろう。
「弥月。」
『うっわ!!
・・・こ、じゅうろうさん・・・』
ボーっと思いにふけっていたら、私にかけられた声。
気配に気がつけなかったから上ずった声を上げてしまったが、確認する為に振り返れば、そこには渋い顔をした小十郎さんの姿。
『ご、ごめんなさい。』
「いや、俺も悪かったな。」
おもわず謝れば、小十郎さんからも謝罪される。
でも、小さくお互いに笑って、彼はそのまま私の横に座った。
「気配には疎いんだな。」
『そういうこと言いますか?
第一に私の事監視する忍なんて居ないでしょうに』
「わからねぇぞ、
実は屋根裏に居たりしてな」
『耳はいいんで、物音がしたら撃ちます。』
「・・・」
にこっと、私的にちょっとまずい発言したと思う。
うん、仲間だったら身内殺しですから。
敵だったらお手柄だけど。
「まぁいい、用があるのはこれだ。」
なんて思ってたら、差し出されたのは、横笛だった。
執筆日 20130306
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