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「弥月君は飲まないのかい?」
順々にお酌をして回って、秀吉様と半兵衛様が私にそう言った。
飲まない、じゃなくて飲めない。
うん、まだ高校生だし、いや、関係ないないけど今の時代じゃね。
『申し訳ありません。なにぶん弱くて。』
「へぇ、結構強そうに見えるけど。」
『人は見かけによらないというものですよ。』
でも、まぁ丁寧にお断りする。
実際に言えば、アルコールに弱いことははっきりしている。
学校でパッチテストやったとき肌が赤くなって大変だったんだから。
「そうだね、
あぁ、そういえば弥月君は舞は出来るかい?」
『舞・・・ですか?』
「あぁ・・・その様子じゃ無理そうだね。」
でも、いきなりがらりと話が変わった。
いや、舞と言われても・・・
私の家はそういうのとは程遠い生活だったし。
確かに・・落ちぶれた家族の一つだといわれたけど、定かではないし。
今の私の家に面影なんて残っちゃ居ないし
うん、別に構わんが・・・
「今度宴を開くときには、何かできるようにしておいてね。うん、楽しみにしてる。」
『・・・半兵衛様はそうとう酔っていらっしゃるようですね。
私は何も聞かなかったということで忘れさせていただきまする。』
いや、だがしかし、これは話が違う。
確実に無理だ、そんなの。
苦笑いをすれば「最初から諦めるのはいけないよ」なんていわれた。
誰がそうしてるんだ、誰が。
まぁ・・・でも・・・
『(何か・・・ねぇ・・・)』
やっては、見ようかな。
ただ、私が出来ることはかなり限られるとは思うけれど・・・
執筆日 20130306
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