想イ輪廻 | ナノ

02


(29/45)





「大変だったな、弥月」

「・・・」

「本当にすまなかったな、お前の時間を取って。」



政宗の酒の強さには本当に驚いた。
「酌しろ、」なんていわれて、ずっとつかまっていたのだから。

まぁ、私以外にも回っている人が居るから大丈夫だと思うのだが・・・


私にも酒を飲めと言い出したときはさすがに焦った。

まぁそのときに小十郎さんが助けてくれたのだが・・・。


家康と石田様のところまでいけば、家康からは励まされ、石田様は無言。
連れてきてくれた小十郎さんからは謝罪を頂いた。

別に誰が悪いというわけは無い



『いえ、大丈夫です。
 むしろ、今回は助けてくださってありがとうございました。』



それに私はちゃんとお礼を言わなくちゃいけないのだ。

あの時あのままだったら、私はきっとあそこで・・・


助けが来たから良かったものの、最悪の結末に今思えばぞっとする。

でも、まぁいいんだけどね


今、私はここで生きているから・・・。



「政宗様にも伝えておく。」



ぽんぽんっと頭を撫でた小十郎さんはそのまま戻っていったが、石田様の機嫌が悪いのは私の気のせいだろうか。



「弥月、儂にもお酌してくれるか?」

『うん、では失礼します。』



でも、家康に呼ばれてスッと横にいってお酌をする。

みんな良くこんなの飲めるよねー。なんて思うけど。



「弥月、さりげなく三成にもお酌してやってくれ。
 あいつは自分から飲むような奴では無いからな。」

『石田様に?』



そんな私に小声で言った家康。

自分から飲まない・・ということはただ単に私と同じなのでは、と思うのだが・・・
断わるだろう、普通は。


なんて思ったけれど、スッと一度立ち上がり、石田様の横に座る。



『石田様もどうです?』



なるべくさりげなく隣に座り、首をかしげる。

シャラッと耳につけている飾りが音をたてた。



「・・・」



けれど差し出されたお猪口に、少し固まった。

視線はこちらに向いていないが、石田様は、私の問いかけに応じたということだ。



『失礼します。』



でも、早くしろ、と言われる前に私は彼のお猪口にお酒を注いだ




執筆日 20130306


 
//


×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -