「一人でかかえなさんな」
「わざわざ言うことじゃないよ」
そう言ったら軽く頭を叩かれた。
「原因は俺じゃ。俺に言えば良かったんに。」
「仁王くんに迷惑がかかるでしょ?」
「迷惑なんて思うわけなか、むしろ嬉しいナリ」
「なんで?」
「なんも知らんで本に電話番号書いたと思っとるんか?」
「どういうことか、さっぱりわからない」
「柳に聞いたんじゃ、お前さんの好きな本」
あぁ、柳くん。
テニス部で生徒会にも入っていて
頭もすごく良い。昼休みにはたまに
図書室で会うこともあった。
彼はいつも難しそうな本を読んでいたっけ。
でもなんで私が好きな本をしってたんだろう
「うちの参謀はなんでもしっとるんじゃ」
「なんか怖い」
「プリッ」
「で、なんで聞いたわけ?」
「今やったら丁度いいのう」
「ずっと前から好きやった」
思考回路が完全に停止した瞬間だった。