「もう、お別れか」と呟いたあの日から
既に二週間は過ぎてしまった。

OB戦で顔は合わしたけれど
少しも部長らしくない財前をみて
あいつらしいなと思いながら

やっぱり部長は白石が適任だったと
思う自分がいた。


そんな私も高校生になるわけで。
なかなかあの馬鹿みたいに面白くて仲の良い
連中に会えなくなるのは結構つらいものだった。


でもそれを察したのか前部長である白石から
3日ほど前に金ちゃんの誕生日会をしようという
メールが届いた。


本当に?と彼にきいてみるともちろんやろと言われ
他の部員にきいてみると詳細を教えてくれた。

だから私はてっきり本当の事かと思っていたのだ。



「で、なんで白石しかおらんの?」

「せやなあ」

「他のアホ達はこんの?」

「どうやろなあ」

「なんでそんなやる気ない返事なん?」

「さあなあ」

「ムカつく」

「堪忍な」

「あのさ」

「なんや」

風が吹くとともに桜が舞ってそれが背景で
似合うなんとも残念なイケメンをみて私は少し固まってしまった。


「な、なんでもない」

「あっそ」


そして沈黙。
まったくなに考えてるのか分からない。
というか本当に誕生日会なんてするつもりなんだろうか


「なあみょうじー」

「なに」

「今日何の日かわかっとるー?」

「金ちゃんの誕生日」

「せやなくて」

「なに?」

「エイプリルフールや」

あぁ、そういえば。
と思ったけど全然冗談にならない。


「はぁ?!じゃあ誕生日会っちないんや?!」

「アホか、あるわ」

「じゃあなん?」

「俺な」

「おん」

「お前の事好きみたいなんや」

「おん、どーせ嘘やろ」

「は?」

「エイプリルフールやからって騙されんわアホ」

「いや、これマジやから」

「それ笑えんで」

「笑う話やないからな?」


ないしょのおはなし
(このあとどうなったかなんて彼らしか知らない)


    

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