「おめでとうございます」


そう 目の前に映し出された映像と
それについて淡々と語っていく白衣をきた女性


「お父さんにあたるかたに心当たりは?」


「あります」


「じっくり考えてくださいね」


「は、はあ・・・。」


毎月決まったようにくるものがこないと
不安になってしまうわけであり、
友達に相談してみたところ「デキたんじゃない?」と言われ
すこし恥ずかしくなりながらも検査薬を薬局で勇気を出して購入し
まさかの陽性が出てしまった。

もちろん私は嬉しいけれどもしかし
彼が それを 喜んでくれるだろうか??

ましてや 結婚するかどうかよりも
喧嘩しているというのに。




「どうしよ・・・」

今日は仕事を休んだ。
気持ちの整理をつけたかったからだ。


「誰に相談しよ」

高校時代の友人、といってもやっぱりここは
男に聞くべきだろうなと思い手を伸ばす。


「んー」

迷いながらも発信ボタンを押した。
もどかしくてしょうがなかったが相手は出てくれたようだ。


「もしもし、みょうじか」

「うん、そうだよ」

「また精市と喧嘩でもしたなんてことは言うなよ」

「分かってるんだね」

「まあな」

といって彼は微妙に笑った。笑うところじゃないんだけど。


「それがさ、妊娠しちゃったみたいなんだよね」

「そうか、おめでとう」

「あ、ありがとう」

「言ったのか?」

「言えない。もしかしたら別れる可能性もあるからさ」

「みょうじ、言っておくがあいつはそんな簡単にお前を離そうとするやつではないことくらい、
 一番しっているだろう」

「そうだけど、なんかやっぱり不安で」

「とにかく精市には一刻も早く言うべきだ」

「分かったそうする」

「じゃあな」

「仕事頑張って」


プープーと通話の切れた音が響く



「話すっていっても、なんて言おう?」


妊娠したから 結婚してください?
仲直りしたいな?
別れよう?


どれにしたらいいのか 全く分からない。




話したいことがあるので、 家に来てください。




そっけないメールを精市に送った。
間もなく今日は早く迎えると思うという返信が来た。


いつもよりそっけないメールでも
すぐに返してくれるところをみると
なぜか喧嘩しているのはうそのように感じる。





思いつめながら時計を眺めていると
インターホンがなった。

もうそんな時間か、と思いながら彼が来たことを確認し
鍵をあける。「ただいま」と微笑みかけてくれる彼をみて
まるで新婚のようだと私は不意に思ってしまった。



「大事な話ってなに?」

「私とさ、別れたい?」

「喧嘩の事はもういいよ。俺も悪かったし」

「私もごめん。つい カッとなって」

「てかさ、今日良い?」

「えっなんで??」

「だって最近ろくにやってなかったし」


あぁ、そういえば。
確かに・・・。


「もしかして女の子だったり?」

「いや違うんだけど」

「じゃあ何」

「あのね、精市の子供ができた」

「ごめんもっかい」

「子供ができたの。」

「俺の?」

「そうだよ」

「本当に??」

「うん」

「ねえなまえ」

「なに?」

「指輪買いに行くのいつにする?」

驚いて 涙が出てしまった。
そんなナチュラルに言わなくても。


「泣かないでよ、お腹の子が驚くよ?」

「あ、そうだね」

「大切にしていくから」

「お願いします」


休日の予定は?
(挨拶と指輪と式場と忙しくなりそうです)





    

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