ぱたりと、
携帯を閉じた。
本当は思いきりへし折りたくて、
踏みつぶしたくてたまらない。


「ごめんね、今日も会えない」

そんなこと知ってる。
愛しい人は俺の事をみてくれていないことも。
そもそも自分から言ったんだ。


遊びでもいいから。と


もちろん試したのかと聞かれればそうなる。
でも彼女と二人でいられるのなら。
“浮気相手”それでもいい。
彼女に触れられるのであれば

なんて女々しいかもしれないが
彼女のいわゆる“彼氏”が知らない
部分を俺だけが知っている。

俺だけのなまえがみれるだけで幸せだった。

でもそれは前の話。


「幸村」

「なに」

「結婚するかもしれない」

その日を境にもうこの関係をやめようと
彼女から告げられたのだ。
言葉を疑ったけど、顔を見れば本気だとすぐに分かる。


「旦那になるやつには言ったの?」

「旦那も旦那だから」

じゃあなんで結婚するの?
俺じゃだめなの?
ねえ、その選択肢はないの?


「そう」

「表向きだけだよ」

そういえばどっかのお嬢さんだったっけか。
すこし考えこんでみれば
彼女は俺を覗きこんでこう言った。

「私と駆け落ちする?」

なーんてねと付け加えて彼女は再び
布団にもぐった。

「最初は不自由かもしれないけど、やってみる?」

軽いノリ、ではなくて
彼女がそれを望んでいるのならそれで
良いと思った。なまえによって俺自体が
変わることも全部全部分かってる。

「じゃあ、来週またここにくるね」

あ、それとと思いだしたようにあわてて
彼女が「ありがとう、これで幸せになれる」
顔が少し赤くて照れながら俺に向かって
言った。


思い込みが激しいと言われてもいい。
だけどきっと彼女はずっと俺と一緒になることを
望んでいたんだと思う。


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