島津の盾は流されがち


橙色の子ども達に断髪を妨害されてはや数日。
ナマエは心底うんざりしていた。
全く妙な奴らに好かれてしまったものである。
連日嵐のようにやってくる子供たちをどうにかこうにか居留守で乗り切っていたが、子どもの好奇心というのは想像以上にしつこいらしい。

暑すぎず、寒すぎず。
程よい春風が吹く昼寝にうってつけな今日とて縁側で昼寝を貪っていたナマエは、開けたくもない瞼をゆっくりと持ち上げた。
本当はこのままうつらうつらと舟をこいで過ごしたい。
けれど家の周りに騒々しい気配を感じてしまっては昼寝どころではなかった。
定期的にやってくる家の者でもなければ、近所の住人でもない。

(これはあれだな……)

またあの子どもに違いない。
案の定、コンコンと玄関を叩く音を無視すれば、今度は取り立てよろしくバンバンと扉を叩く音が響いてきた。
やがて「こんにちは!」と無駄に大きな声を揃えてくるものだから、さすがのナマエも看過できない。
このあたりは静かな屋敷ばかりなのだ。
子供の大声など目立ってしょうがないし、何より変な噂でも経ったらたまったものじゃない。

(俺の隠し子とか言われたら地獄だ)

渋々起き上がり長い廊下を渡って玄関に向かうと、格子が嵌められたすりガラスにちんまりとした人影が浮かびあがっている。
ナマエは鍵を外し、少しだけ扉を開けた。
見覚えのある橙色の髪の毛だ。隙間からちらりと見ただけで分かる。
舌打ちしたくなるのを抑えて、ナマエは扉越しに子ども達を見下ろした。

「帰れ」

そして扉を閉めようとして、ふと扉の内側になにかがあることに気がついた。
空いた隙間に竹刀が差し込まれているのだ。
たしか秋弘と名乗った、言葉数が一等少ない子どもが隙を見て入れ込んできたらしい。
知ってか知らずかテコの原理を利用して強引に扉を開けた子ども達はするりとナマエの領域に侵入してくる。

「おいお前ら」

入るのを許可したつもりはないんだが。
眉間に皺を寄せてたナマエは「また鬼鉄刀で追い出すか」と考えた途端、目の前にずいっと何かが差し出された。
それは小さな箱だった。
箱を包んでいる瀟洒な包み紙は見覚えがある。
たしか有名な菓子処のものではなかっただろうか。
ナマエは箱と差し出してきた春久を見比べて、一瞬黙ってしまった。

「お菓子です!」

つまらないものですが、と定番のセリフつき。
大人のような挨拶をしてくる春久はやっぱり生真面目な性格らしい。
元々の性格と立場も相俟って子どもでありながら必死に背伸びをしているみたいだ。
なんだか微笑ましい……などとナマエが思う訳もなく。

「お前らで食えよ」
「えっ」
「俺は仕事で忙しい。じゃあな」

戻って昼寝をするのは誰にとっても仕事とは言わないが、嘘も方便である。
春久の肩を掴んで回れ右させると、後ろに控えていた秋弘ごと二人をぽいと玄関の外に放り出す。
赤子の腕を捻るくらいには簡単だった。簡単すぎて拍子抜けするくらいだ。
連日押しかけてきていた癖に、あまりにも引きが早い。

「なんで来たのか知らねぇけど、大人しく帰れ……ん?」

そこでふとナマエは気がついた。
この前はもっと人数がいたし、さっき感じた気配はもっと多かった。
もしやこの二人は囮部隊だったのでは。
その答えにたどり着いた時、屋敷の中に見知らぬ気配が一つ二つ三つ四つ……。
感じるごとにナマエのこめかみに青筋が浮かぶ。

「お邪魔しまーす」

しまった。
庭の方から声がして、もう既に侵入を許してしまっていた事に気がついた。
まさに多勢に無勢である。
こちら側で春久達が気を引き、別動隊が庭から入るという大胆な作戦だったらしい。
一度戸を閉めてから庭の方へ駆けていくと、縁側に四人の子どもがいた。
どこから引っ張り出してきたのか七人分の涼し気なガラス製の器に冬家がヤカンから麦茶を注いでいる。
それを真っ先に飲んでいた夏樹が、ナマエに気付くと大手を振った。

「おい、何勝手に茶飲んでんだ」

大股で近づいて、小さい頭を見下ろすとにやりと悪戯っぽい笑顔が見上げてくる。

「お客様にはお茶くらいだすものでしょ」
「俺はお前らを呼んだつもりねぇよ」

扉を強引に押し開けたり、勝手に庭に入ってくる奴は客とは呼ばないのだ。
むしろ不法侵入である。
だがそんな事を言った所で子どもに通じるのだろうか。いや通じた所で納得するのか。
考えた所で、ナマエは更に疲れそうな予感がしてきた。
刀気で追い出すのは正直面倒くさいし、いっそ無視して自室にこもろうか。
いや障子一枚の防衛線など紙より薄い。
いつの間にか回り込んで庭に春久と秋弘もやってきて、こちらは控えめにおずおずと様子を伺いながらも縁側に座りだすものだからますますのこと。

「夏樹がすみません。これ、さっきの……えっと、これねこやのどら焼きです」
「そりゃ知ってる」

改めて差し出された菓子箱を今度は一度受け取って、手にした端から春久に押し返す。
こういう性格は一度受け取らないと引けないに違いない。

「お前らで食えよ。俺一人じゃ食えねぇよこの量」
「えっ。いいんですか?」

そう言って喜んだ双子はきらきらした期待の眼差しで春久をじっと見つめている。
春久は少し迷っているようだったが、ナマエが何も言わずに縁側に腰を下ろすのを見てからようやく包み紙を開けた。
ねこやのどら焼きといえば島津の領内で有名な高級菓子屋である。
それを持ってきた子ども達にとっても、どうやらその特別感は同じらしい。
箱を開けた途端に小さな手がわっとどら焼きに伸びた。
真っ先にかぶりついた夏樹がふにゃりととろけたように微笑む。

「俺このどら焼き好きー!」
「そりゃ良かったな。その調子で食え」

そして腹一杯になって帰ってくれ。
内心諦めていないナマエはあぐらをかき、その上で頬杖をつく。
己が脱力している分、子ども達の元気さが眩しい。
きゃらきゃらと笑いながらどら焼きを頬張り、口いっぱいに食べる姿は不思議と見ていてあきなかった。
小動物を飼うとこういう気持ちになるのだろうか、と柄にもなく呆けた事を考えてしまう。

(いやいや、そんな予定はないしこいつらは気まぐれで来ているだけなのだから早々長続きもしまい)

相手にしなければ子どもというのは飽きるものなのだ。
だから早く今日も帰って欲しい。今日も昼寝をしたい気分なのだから。
全て食べたら満腹になって満足しないだろうか。

「ほら、まだ余ってるから食え」

唯一少しずつ食べ進めている秋弘にもうひとつどら焼きを押し付ける。
気を利かせて一つ余らせていたようだが、あいにくと甘味の気分ではない。
どちらかと言えば濃ゆい抹茶の方が今この場には合っている。

「お前ボケっとしてると全部兄弟に取られるぞ」
「は、はい」

夏樹や双子は秋弘に比べると気性が荒い。秋弘がおとなしすぎるのだろうか。
他の兄弟に比べても無口で小さくてぼんやりしていて、放っておいたら押しつぶされていそうだ。
ポカンと間の抜けた顔を見てると、何となく呆れてしまう。

「ありがとうございます」

ただふにゃりと頬を緩めた顔を見ると、なんとなくジッとしていられなくなった。
ナマエは不自然にならない程度に視線をそらせて「そういえば」と呟いた。

「結局お前ら何しにきたんだよ」
「何とは」
「どら焼き食べにきた訳じゃないだろ」

先程から見ないフリをしていたが、どうにも触れずに話は進みそうにない。

「なんだよこの竹刀は。まさかここで練習しよーってんじゃねぇだろうな」

頬杖をついたままナマエがもう片手で気怠く指をさす。
縁側に立てかけてある数本の竹刀はナマエに見覚えがない。
この子どもたちが持ちこんだものに違いなかった。

「それは訓練の間に抜け出してきたからねっ」
「お前等なぁ……」

悪びれもせず、むしろ舌を出して誤魔化した夏樹が続けた。

「普段は真面目にやってるよ!」
「今日はあの、実はあなたの鬼鉄刀を拝見したかったのです」

春久がチラッと後ろを振り返る。床の間には一振りの刀が台の上に置いてあった。
この前子ども達の前で一瞬使ったナマエの鬼鉄刀はあれ以降一度も抜いていない。

「こんなもん家臣にいくらでもいるだろ」

それこそいくらでも誰のでも見放題だろうに、わざわざ見知らぬ人間の鬼鉄刀を見たいとは。

「もしかして鬼鉄刀マニアか?」
「あなたの鬼鉄刀は、他の人と違うようにみえました」

ぐいと秋弘が前のめりになってくる。
自然と上目遣いになった瞳が期待できらきらと輝いているように見えて、ナマエは息が詰まった。
あまりこういった類の眼差しには慣れていないのだ。
手で払った所でどうしようもないそれは、さらに秋弘以外の五人からも注がれている。
ひたむきに純粋で真っすぐな感情の塊がナマエには眩しい。
数秒、十数秒。
無言の間を通り抜ける風がさわさわと耳元をくすぐって、むずがゆい。

「あ〜〜〜もう、見てもいいが見たら帰れよ」

もう我慢の限界だ。
頬杖をついていた手でガシガシと頭を掻くと自然と口からため息のような諦めが零れる。
こうした突然始まる顔色の読み合いは最初から子どもに有利だと思う。
ただでさえ子どもの憧れや尊敬といった感情は受け入れがたいのだから、先に根を上げるのは目に見えていた。

(どうにも上手く制されている気がする)

子どもに甘い顔をしているつもりはないが、悔しい事に彼らの方が一枚上手のようだ。
それがわざとなのか、天然なのかは計りかねるが。
ナマエがいまいちスッキリしない胸の内に眉を顰めている間に、子ども達の幼い顔が打ち上がった花火のようにパァッと華やぐ。嫌な気はしなかった。

「じゃあ、失礼します」

六人はきっちり手を拭ってから床の間の前に正座し、代表して春久が鬼鉄刀を手にとった。
ナマエの鬼鉄刀は見た目から派手だ。
鞘には蒔絵で描かれた牡丹が散り、鍔も揃いの牡丹の花模様に透けている。
客観的に見てみれば子ども好きしそうな見た目なのかもしれない。
散々鬼鉄刀を眺めた後、いよいよ春久が抜刀する姿をナマエは欠伸を噛み殺しながら眺める。

「ん?抜けない……?」

だが何か様子がおかしい。
春久が疑問符を口にしながら柄と鞘をそれぞれ持って左右に引っ張ってみたが、それでも抜けないらしい。刀を持つ手がぷるぷる震えている。

「どうした?」
「いえ、あの。この刀抜けないんですが」
「んな事はない。お前等が来た時に抜いて見せただろ」

あの時は違和感もなくいつも通り滑らかに刀は抜けた。
手入れだって日々しているのだから、まず抜けないという事はありえない。
だが春久が嘘を言っているとも思えない。

「貸して見ろ」

動くのは面倒くさかった。
ナマエが手を出すと、春久がおずおずと鬼鉄刀を乗せてくる。
使い慣れた刀だ。手に馴染む。
親指で鍔を押し上げれば鈍い銀色がすんなりと顔を出した。
見た目は派手だが刀身自体は他の鬼鉄刀となんら変わりない刀。
ただ使う者の魂に呼応し、刀気がぶわりとあふれ出す。
鍔の周りに咲いた翡翠に似た結晶体が大きく見開かれた子どもの瞳にきらきら反射して、ガラス玉みたいに輝いていた。

「すごく綺麗」

秋弘が素直に感嘆の声をもらしたのをナマエは内心驚き、そして少しこそばゆい思いだった。
刀気を溢れさせたまま、しばし呆けてしまう。
島津では赤い魂の色こそ史上。
いくらこの刀気が強かろうと、色が違えば話にならない。
ナマエ自身はほんの少しも魂の色に引け目など感じた事はなかったが、こうして刀気を褒められるとまるで魂まるごとを褒められているみたいだ。

(子どもの言う事だ)

子どもが言う事だからこそ真に受けてしまったのかもしれない。
この緑がナマエにとっても初めてとても美しい結晶に見えた。

「綺麗か」

バチバチと刀気が弾けて雷に似た破裂音を響かせる。
そんな事すらおかまいなしに、夏樹がぐいっと前のめりに近づいて来る。

「ねぇこの前の帯のようなものはどう出すの?俺達にもいつかできる?」
「どうって……感覚としか言いようがない。そもそもお前等の魂の色が緑じゃなきゃ使えない」
「そうでした」

がっかりと肩を落とした秋弘はもにょもにょと小さくなって、しまいには目に見えて小さくなった。
そのあからさまな反応に、ナマエは「いや、待て待て」と柄にもなく慌てて言葉を続けた。

「魂の色が緑でも何でも、お前等はお前等なりの強さを探すしかねぇよ。人の後を追ってもしょうがない」

そも島津の後継者である子ども達だ。
周囲は皆赤色を望んでいるはずだが、今そんな事を言う気にはならなかった。
魂の色にこだわるそこらの大人と一緒になって欲しくはない。
代わりにナマエは刀を鞘に納めながら別の話題に話をそらそうとした。

「お前等せっかく六人いるんだから連携技でも作ればいいだろ」
「実はもうその事は考えてるんです」
「兄上が先頭で秋弘が二番目で俺が三番目!」

子ども達はきゃっきゃと声をあげて笑い出した。
夏樹の次は時雨、忠雪、冬家と続くらしい連携技は彼らの中では既に共通の夢なのだ。
胸を張って順番を紹介されると、「あっこれまだ秘密の話だからね!」と夏樹が人さし指をたてる。
それを分かった分かったと宥めている間に、玄関から聞き覚えのある控え目な足音が近づいてくるのが聞こえた。
それは最早走っていると言っても過言ではない速度で、振り返ると同時に障子に人影が写る。

「ナマエ様ッ!」

開けっ放しの部屋の前に男が立っていた。
まるで瞬間移動でもしてきたような速度だ。

「トモダチ、お前家の中で走るなよ」

ナマエがハァとため息をつく。
この家に自分以外に唯一出入りするトモダチは島津の紋入り羽織を羽織る、列記とした武士でありナマエの部下である。
その武士が今は目を丸くしてあんぐりと口を開けていた。
絵に描いたような間抜け面だが、ナマエが鬼鉄刀を持っているのを見つけるやいなや、ハッと息を吹き返す。

「ナマエ様、ついに出陣なさる気に!?」
「なってねーよ」

半ば滑り込むように両膝をついて目の前に座り込んできたトモダチの目は期待感に満ちている。
おかしい。きっと昂る感情は子どもと同じだろうに、特に何とも思わないどころか煩わしく感じる。日頃の行いだろうか。
ナマエはさらりとトモダチを無視した。

「鬼鉄刀持ってるだけで早合点するな」
「だってだって最近持っている所すら見ませんでしたから!あぁもしやお屋形様はこれを見越していたんでしょうか。お手紙が届いてますよ!」

懐から書状を引っ張り出しているのも見ないフリをして、ひとまず床の間に鬼鉄刀を戻す。
両手が空いてようやく改めて向き直ると、無言の視線がぐさぐさと突き刺さってきた。
口は閉じても目はうるさいほどに物を言う。
黙っていられるのは感心だが、これではトモダチとなんら変わりがない。

「ねぇねぇどういう事!?父上から書状って!?」

結局我慢できなくなった夏樹が真っ先に沈黙の間をぶった切った。
渋々受け取った書状を広げると、横から覗き込んで「これ本物?」と疑わしい目で見てくる。
見られて困るものでもないだろうから放置だ。
相変わらず嫌味なまでにきれいな字だが、おそらく文官が代筆しているのだろう。「出陣しろ」という内容が遠回しに書かれている。これも間違いなく文官の言い回しだ。

「失礼な。本物ですよ。ていうかナマエ様に向かってなんたる口の利き方をしてるんですかこのガキは」
「それはお前もだろ。それにこいつら島津の若様方だ、問題ない」

最後まで読み切る気も失せた。
くしゃくしゃに丸めてトモダチに投げると、いつもなら上手に受け止める手が動けない。掴み損ねた手紙がぽろりと落ちた。

「こ、このガキ…いえ、子どもがですか!?」

手紙そっちのけでナマエの周囲に座る子ども一人一人を順番に見、わなわなと口を震わせている。

「まぁ顔はどいつもあの大男には似てねぇが、髪色とかそうだろ」
「そうですが。いえ、若君でもナマエ様に失礼な態度を……」

あぁだこうだと小言を垂れ流し始めたトモダチはこういう時ばかりは小姑みたいだ。
指で耳栓をしてそっぽを向く。
すると視線の先にいた春久がおそるおそるといった様子で口を開いた。

「あの、すみません。ナマエ様……は一体どのような官職についてらっしゃるのでしょうか。父から書状とは一体」
「ありゃ俺に戦に出ろっていう催促状だ。もう何度も無視してるけどな」
「えっ」
「それに俺は別に何かの官職についた覚えはない」
「貴方様は一応一部隊の長ですよ」

紙屑になった手紙を拾いながら、トモダチは思い切り眉を顰めている。
それこそ上司にする顔ではないと思うのだが、ナマエはさほど気にしてはいなかった。

「聞いた覚えはないが」
「書状に書いてあったのでは?」

そういわれるとぐうの音も出ない。
書状を最後まで読まずに捨てるのはいつもの事だからだ。
もちろん過去の物も全部捨ててある。振り返る必要性を感じない。
つまり反論しなかった時点で向こうもこの任を受け入れたと見なしている。
知らず知らずの内によく分からない立場に祭り上げられているのをナマエは今初めて知ったのだった。
トモダチは知っていたが、あえて口を出さなかったに違いない。
いや、もしかしたら言っていたかもしれないが無視していた可能性もある。
恨めしい気持ちでトモダチを睨むが、トモダチはトモダチで子どもへの熱弁を振るっていた。

「ナマエ様はあなたたちから見れば叔父にあたる方ですよ。書状が届くのも当たり前です」

六人はきょとんとした表情でナマエの顔を見、そして一拍間をおいて驚嘆一色になる。
こうして驚いた顔を眺めていると、やはり兄弟なだけあってそっくりだ。
ただし口々に発する言葉はそれぞれ違ったけれど。

「ナマエ様、お伝えしていなかったんですね」
「必要性を感じなかった」

子どもがまた騒がしくなるだけだ。
案の定騒がしくなった世界から指で耳栓をして壁を作る。
目の前でトモダチがやれやれと肩をすくめているのが見えたが、ナマエはしらっと言った。

「責任もってお前が鎮火しろよ」
「隠していたナマエ様のせいでしょう!」
「言ってなかっただけだ」
「もう、ああいえばこう言うお人で本当にしょうがないですね」
「聞こえない」
「聞こえてるじゃないですか」

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