恋連鎖 | ナノ
「集合!」
季節は皐月。緑が青々と美しい時期。キャプテンが声をかければ、練習中の女バスはたちまち顧問の前に集合した。
それから今日の練習終了の掛け声と、次の試合に向けての言葉だのを聞けば、それぞれ解散する。
結も立派な女バス部員であるため、顧問の一言一言は重要だ。
しっかりと胸に刻んで……
「結お疲れー」
「あ、お疲れ様」
部室に向かい着替えを始める。
練習後の着替えは、何といっても汗臭いの一言につくが部活着を脱げば解放感に浸れる。
「そういえばもうすぐよね」
「え、なにが?」
「球技大会よ。ホラ、うちって体育祭は10月だけど球技大会は今月じゃない。…って、結は今年転校してきたばっかだから分かんないか」
「はぁ…」
「絶対バスケに出なさいよ?あ、でもクラスでバスケ部の子は二人までしか出れないけど」
球技大会の事を聞いたのは今日が初めて。
突然A組の子に「バスケに出ろ」と言われてもよくわからないためどうしようもないのだけれども。
ぶっちゃけ運動しているところ人に見られるのは嫌だから、なるべく大人数の競技に出たいんだけど…
そう言い出せずに、結は帰宅したのであった。
球技大会という名の戦-前篇-
え、後篇もあんの?