恋連鎖 | ナノ

「あの、何でこんな事に…?」

目の前のあたしに話しかけてくれた女の子に話しかけてみれば、その子はまたもやキラキラした表情であたしに説明してくれた。


「昨日のアレ見てさ、私たち、結さんが二人に好意を抱いてもらってる事に気付いてとっても興味を持ったの。だってあの二人だよ!? それってすごい事じゃない!すっごい良い子なんだろうなーって思ったの」

「え、え……?」


何それ、なんか…照れる。

そんなあたしを置いて、女の子は続ける。


「それに貴女と友達になって観察してけば、あの二人にどうやったら好かれるかって事も分かるかもしれないじゃない!
私たちにとっては、良い友達もできるし二人に好かれる要素も身につくかもしれないから一石二鳥って訳よ!!」

「……おぉ」


あぁ、どうやらあたしはとんでもない勘違いをしていたみたいだ。

なんか嫌われ小説とかの読み過ぎかな…。世の中、人気者に好かれると毛嫌いされるだけじゃないんだ…。
いや、むしろこの人たちが良い人なのか…。

どちらにせよ、あたしにとっても嬉しい事。二重の意味で。


「そっか」

安心して微笑めば、「これからよろしくね」と笑顔で彼女たちは言ってくれた。


「こちらこそ」


「で!ぶっちゃけた所、結さんって二人のうちどっちが好きなの!?」

「え、いや…あの…本当の所言うと、好きな人は別にいて…」

「え!!?誰誰!!?」

「うぅう…」


女子って面倒臭い。っていうか現在進行形で銀ちゃんと付き合ってるんだけど…。
言わないと色々変な噂になっても困るし、だからと言って言うわけにもいかないし。(付き合ってるだなんてもっと駄目だ!)だからあたしはこれだけ付け足す。


「それだけは、秘密」


口元に人差し指をあてて言うと、女の子たちから「可愛い!!」と言われた。

突然の事に照れればいいのか驚けばいいのか喜べばいいのかの反応ができず、困ってしまった。
うーん…今日は変な事が起きるなぁ…。


とりあえず今の一言でまるく納まったようなので、この子たちと仲良くサッカー観戦することとなりました。
3年Z組頑張れー。その思いがクラス一つだけのものじゃなく、たくさんの声だったので、これまたアッサリと3Zは勝ちました。ごめんね3-Aの男子諸君…。


「結、どうしたノその人たち」

「なんか友達できた」

「おめでとうアル!」
「う、うん、ありがとう。…おめでとう、なの?」

「でも結の親友は私だけだからナ。結も忘れちゃ駄目ヨ」

「へ?……は、はい」


神楽ちゃんがキュッと抱きついてきて向こうの女の子達に眼をきかせている。駄目だよ神楽ちゃん、君のその眼力は恐ろしいんだから…。
ついでに言ってしまえば腕の力も強いのだ。また内臓が出てきそうなグロッキーな感覚に陥る。


「誰が大親友って言ったんでィ。結の大親友はずっと前から俺だけって決まってるんですけどねェ」


パッと体が離れれば、サッカー後の我らが王子様総悟がやってくる。
女子達がおぉーっと歓声を上げる。ナゼ?


「何、昨日の今日で結に近づいてるアルか!!」
「だから、俺達大親友なんで、あれも実は俺達で言うスキンシップってやつなんだよ。な、結」

「それは違う!」

「ぷぷーっ何勘違いしてるアルか。間抜けネ、超絶間抜けネ。あー恥ずかしいっ!」
「っ……」

何度も総悟をからかう神楽ちゃんに対して、段々と黒いオーラが彼を包むと

「上等だ、向こうで決着つけようじゃねーか」

バキバキと拳を鳴らし、静かに神楽ちゃんを睨む総悟。それを察してか

「これはこれは話が早ェアル。手加減してやろうか?あぁ?」


「こっちの台詞じゃボケェェェ!!」
「うォォオオオオオ!!!」


「神楽ちゃァァん!!総悟ォォォオ!!?」


私を置いてさっさと仲良く喧嘩しに行ってしまったとさ。


あの二人はもう鉢合わせちゃだめだよ。絶対に喧嘩になるもん。傍観者であるあたしの事も察して下さいよ。って、心の中で呟くが心中である限り彼らには届いてくれないのが悲しいけれども。
ため息をつけば埃たつグラウンドを背に向けて歩き出す。

次はバスケの試合だから九ちゃん誘って早く行かなきゃ。


「あ、結」
「?」


通り過ぎた時、コタロに呼びとめられる。

あ、ちゃんと髪結ってる。あたしの言った事受け入れてくれたのか――なんか嬉しいな。そんな事を思いつつ彼の方へ足を進める。
ふむ、黙っていれば正統派美系なんだよねぇ…。うん、上から目線だなあたし。

「昨日帰りにいなかったから昨夜文通で連絡したのだが…他の奴らも送りつけていたせいで寝不足だったりしないか?」

「うんコタロ、まずは携帯というものを知ろう。Do you know cellphone?」

文通なんて見ないよ!いくらお隣さんだからってポストの中に入れなくても……って、お隣さん何だから直接言ってくれればよかったじゃない!

そう意見してみると「昨日はエリザベスとマ○オの64のクリアに没頭していたからな、そんな暇が無かった」と、超どうでもいい情報をありがとう。

やっぱり駄目だこの委員長は。っていうか何で委員長やってんの。妙ちゃんとかでいいじゃん、なんでアンタなのよ。
でもなんやかんやで委員長をやりとおしているところは評価してやるべき…というか。正義感は強いし、いいんじゃないかな。
でもこの天然な部分は治してほしいよコタロ。


「で、話とは?」





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