季節物



何で、こんな目に合わなきゃならんのだ。




「……補習なんて、この世から無くなればいいのに」




さんさんと照りつける…いや、ギラギラと照りつける炎天下の下、今のあたしには、魔王の城のように見える学校がそびえたって見えた。

あぁ、せっかく日焼け止めを塗ってきたのに汗で流れ落ちてしまいそうだ。

いや、今からクーラーの効く教室に向かうからいいとしておこう。
しかし……



ピリリリリ…


「?」



突然鳴り出した携帯を取り出す。

神楽からの電話だった。



「もしもし…」

『今どこにいるアルか!!? 私たちプールに行く途中ネ』

「ごめ…今日、補習……」


どんよりとした気分でそう答えると、電話の向こうの神楽は「ハッそういえば…!」と、気まずそうな返答をした。


『それじゃあ仕方ないアルな…。また今度誘うアルヨ。補習がんばってくるヨロシ』

「うん、ありがとー」


ピッと携帯を切って、どこか自分の中で決心をすると、あたしは校舎の中へと入っていった。





―――あたしだって遊びたいよぉぉぉぉ!!!














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