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WhereDoYouLike?


「お前は、俺の何がいいんだ?」

行為の後、ふとそんなことを聞かれた。
いつもは事が終わると、そこでは何も起きなかった、
と言わんばかりにこちらに背を向け眠るか、
あるいはそのまま身支度を整え出て行ってしまうこともある、目の前の男。
今日はずいぶんと機嫌が良いらしく、ベッドに横たわったままこちらを見据え、
そう問うてきた。

「何、って言われても、なあ…」
「理由もなく抱いている、ということか?それは…随分と悪趣味な…」
「そういうことじゃなくてですね…」

思わず苦笑が漏れる。

この、ひねくれた性格の上官。
確かにどこに惚れたのかといわれると返答に困る。
――どこかに惚れた、というよりは…

「アンタだったから惚れた、ってヤツですかね」
思わず口から漏れた。
「…?…意味が解らん」
ハーネマンはきょとんとした面持ちで首をかしげる。
単なる武器フェチの変人・とっつきにくいひねくれ者。
最初はこてんぱんにしてやられた悔しさから、
見返してやろうという思いでつっかかっていた。

だが、そうしているうちに。

興味のない物には見向きもしていない様で実は多くの物を見つめている、
山奥の未開地の湖の如き深い碧の瞳。
機能美を愛するが故、己からすらも徹底的に
余計なものを排除したといっても過言ではない体。
日常見せる氷のような表情と行動と、戦闘時の狂気にも似た熱い迸り。
二重人格・奇抜・変わり者・変態…などと評されている彼の、
心の底にある繊細さ・脆さ。
持ち主のそんな心の底を形象化したかの様な、寂寥感すら感じさせる白い肌。

そんな彼の持つ奇妙で魅惑的な引力に、クーパーは次第に惹かれるようになっていた。

「そうですね…説明が難しいんですけど…
 言うならどこか一ケ所に惚れた訳じゃなくて、
 アンタが『ミッヒ・ハーネマン』だったから惚れた、ってことです。」
「…それじゃ全く説明になってないんだがな。」
眉間に皺を寄せ呟くハーネマン。
彼をよく知らない者が見れば、おそらく不機嫌と捉えるであろう面持ち。
だが今彼と対峙しているこの青年には、
ただ単に投げられた言葉の意味を考えあぐねているだけだと理解できた。

「そうとしか言いようがないんですよ。
 俺にもどう言ったらいいのか解らないんですから。」
言いながら、筋張った肩を抱き寄せる。
どうやら今日は本当に機嫌がいいのか、或いは思考の世界に浸っているからか、
いつもなら嫌がるこの行為にもハーネマンはおとなしくなされるがままであった。

「…よく、解らんが。」
やがて暫くの後、青年の腕の中に収まった男が口を開いた。
「クーパー、お前が悪趣味だということだけは理解した。」

そんな一言に、クーパーはまた苦笑を浮かべる事しかできなかった。



ミッヒさんの全部に惚れてます。あばたもえくry

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