パンゲレ | ナノ

warmth


暖かかった気候はどこへやら、ある日を境に街はぐっと冷え込み。
行き交う人々の姿も暖を求める装いに替わった。

「すっかり冬、ってヤツだな」
まあ俺には関係ないか、と、胡座をかき窓の外を眺める白い体躯。
ふわふわとした暖かそうな毛皮に包まれた、
否、それ以前に寒暖という生者の感覚から逸脱した域にいるであろう存在。

「生きてる奴ってのは不便なもんだ」

うっすらと笑いを浮かべた白…パンデスは、もう外への興味を失ったかの様に、
手の中のヴァイオリンに視線を−−

落としかけた時に見えた鮮やかな黄色。
それはいつの間に近づいていたのか、
無言のままもぞもぞとパンデスの脚の間に収まると、白い毛皮にしがみついた。

「おい、ゲレゲレ。」
いつもの饒舌さも無く、くりくりとよく動くその目をとじ、
只しがみつくだけの彼に違和感を覚え、その名前を呼ぶ。
「ンー、もうちょっと…」
何がもうちょっとなのかはわからないが、
とにかく声を発したゲレゲレに安堵し、なされるがままになる。



「もう、ダイジョーブ」
しばらく経った頃。
ゲレゲレはその大きな瞳を開き、パンデスを見上げた。
「何が"ダイジョーブ"なんだよ。」
意味も解らずしがみつかれた側の、当然の問いかけ。
「最近寒いじゃん?」
「…で?」
「だから。パンデスならあったかいカナと思って。」

「それで俺にしがみついたってか?俺はカイロじゃねーよ」
暖まった、と言いながらも脚の間から離れないゲレゲレを嬉しくも感じつつ、
暖房器具の如く使われたと感じたパンデスは頬杖をつき不満そうな溜息をついた。
「えー、だってさ」


「オレ、ハチュールイじゃん?寒かったらトーミンしちゃうよ?」
---だから、パンデスがちゃんと見ててくれる?


先ほどと同程度の沈黙が流れた頃だろうか。

「お前、それ 不意打ちだろ…」
頬杖を崩し、その手で己の目を覆ったパンデスの体温は
心なしかいつもより暖かかったような気がした。



秋頃にもうほぼネタは練り上がってた話故今書くと凄く変でした。
今軽く風邪っぴきなんで自分がパンデスもっふもふしたいなーと思いつつ編集。

あとパンデスの設定がなんか矛盾してますね。
パンデスは幽霊だけど体温はあって、でも外界の気温は影響しない、
みたいなね?
無理矢理なこじつけだけどね?ゆるして!!


back to main

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -