4月20日1時38分

シズイザタイム記念
ゲロ甘






昼間臨也が池袋にいた。
いつも通り喧嘩して疲れて帰ってきたら、俺の部屋の電気がついてる。
なんでまだ池袋にいんだよ。

「おかえり!シズちゃん」
「……ただいま」
全力でキレるつもりでいたが、満面の笑みで出迎えた臨也に毒を抜かれた。

「ごはん食べてきたよね?」
「あぁ」
「じゃ、デザート食べよ!」
テーブルに座った臨也の手にはケーキ屋の箱。
最近出来たばっかりでヴァローナと行きたいなと話をしてた店だ。
「早く座って」
用意した皿にケーキを盛りながら急かされる。俺が座ると臨也は立ち上がり
「ココアでいいよね?」
と、キッチンへ行った。


―――落ち着かない。
あれからケーキを食べて(しかも食べさせっこまでして)、風呂に入った。当たり前のように臨也がついて来て、背中を流された。
そして今、臨也はベッドの上にちょこんと座っている。

「‥シズちゃん、しよ?」
「なにを?」
「えっち」
可愛い。正直可愛い。
俺の袖を引っ張りながら微かに赤い顔で誘う臨也は、かなり可愛い。
今すぐ押し倒してグチャグチャにしたいが我慢だ。
その前にこの行動の理由が知りたい。
「お前、どうしたんだ?」
「なにが?」
「今日変だぞ」
「そんなこと、ないよ。したくない?」
「してーよ。でもその前に理由を言え」
俺の言葉に俯いた臨也がシーツをグリグリしながら、ベッド脇の時計を見た。
つられて俺も見る。
23時30分。
「時計がどーした?」
「もうすぐ、明日だね」
「だな。お前の誕生日は来月だろ」
「覚えてたの!?」
驚いて顔をあげた臨也の顔はマヌケだ。
好きな奴の誕生日くらい覚えてるだろ、とは言わない。
どうやら記念日的なものでは無さそうだ。

意を決したのか、臨也が俺の顔を見つめる。
「気付かなきゃ、何もないんだ。でも一度気付いてしまったら意識せずにいられない」
「歯切れ悪ぃな」
「4月20日」
「なんだよ?」
「4・2・0。しずお」
言い終わった臨也は、また俯いてしまった。
「それだけ?」
「そうだよ!笑えば良いだろ。カレンダー見ても、携帯見ても、しずお・しずお・しずお・しずお…」
顔を見せずに俺に寄りかかってきた。
「一日中、何処にいても、誰といても、シズちゃんでいっぱいなんだ」
「臨也…」
「俺は明日に捕らわれた。俺はシズちゃんに‥‥」
そこまで言った臨也に我慢出来なくて口づけた。



―――――――――――――

事後の甘ったるい時間。
臨也は俺の伸ばした腕の上を右へ左へゴロゴロしている。
「なんだよ、うぜぇな」
「言わなきゃ良かった言わなきゃ良かった」
「なんで?」
「死ぬほど恥ずかしい」
「じゃ、死ねよ」
ピタッと動きが止まる。
「死んでもいいの?」
「あぁ。俺も一緒に死んでやる」
「馬鹿じゃないの?」
減らず口の頬を抓る。
「痛っ!!」
「テメェ、今日は一緒にいるか?」
「は?」
「俺といれば、俺で悩まねーだろ」
臨也の顔がみるみるうちに赤くなる。
「もう1回言うよ。馬鹿じゃないの?だいたい仕事じゃん」
「取り立てなんざ速攻終わらせて帰ってくるから、ここで待ってろ」
「………わかった。早くね」
照れ隠しだろう、腕に頬を摺り寄せられてくすぐったい。
「おう任せろ。じゃ遅刻しねーように寝るか」
「うん。おやすみシズちゃん」
「おやすみ」



なんとなく寝付けなくて、腕の中で眠る臨也の髪を梳く。
ふと時計を見ると1時38分。

『一度気付いてしまったら意識せずにいられない』
さっきの臨也の言葉が頭に浮かぶ。
「チッ」
俺はこの時間に捕らわれた。
顔が熱くなるのが自分でも分かって、誤魔化すように目を閉じた。



ありがとうございました!
私はシズイザで頭がいっぱいです





[*prev] [next#]
[TOP]
[タイトル]
[しおりを挟む]



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -