*5

「そうだ!臨也、コレ好きでしたよね?」
静雄に見られたことと射精後の倦怠感でぐったりする臨也とは真逆のテンションで、甘楽がポケットからメンソレータムを取り出す。
静雄が不思議そうに眺める横で軟膏を大量に掬うと、タンポンを抜かれて弛む臨也のアナルに奥まで指を挿れた。
「んあぁぁぁぁぁぁぁっ!」
臨也の身体が跳ねる。
「あ、あつい、あついよぉ・・・」
粘着質な音を立てて内壁を掻き混ぜた指がゆっくりと抜かれる。ナイフで腕を拘束していた紐を切った甘楽がそっと臨也から離れた。
「面白いモノが見れますよ」
甘楽が静雄の隣に立って微笑む。

「な、かぁ・・あついよ・・・ぉ」
腕が自由になった臨也はアナルへ自らの指を挿れる。グチュリ、と卑猥な音とともに臨也の肩が揺れた。
「臨也。こちらに見えるように」
静雄が視界に入って戸惑うも、甘楽の命令に従い後ろを向いた。犬が伏せをするような態勢をとり、二人に見えるよう尻を突き出す。そこへ腸液と、溶けた軟膏の付いた指を差し込む。
「ひゃぁ!ん、あ・・・っ」
片方の指をアナルの縁に引っかけ、もう片方で入り口付近を掻くように弄る。
「ぅ、ぁ、、ん」
ちゅぷちゅぷと出し入れするものの、物足りなそうに眉を寄せた。
「どうしました?」
わざとらしく甘楽が聞く。
「お、おく!おくがジンジンするっ」
涙と涎にまみれた顔で甘楽に訴えた。
「わかりました。折角ですし、静雄くんに挿れてもらいましょう!」
「なっ・・・」
いきなり振られた静雄が息を詰まらせる。
「ココ、こんなにしてるですもの」
静雄の膨らんだ股間を服の上から撫でる甘楽が笑う。
「臨也も欲しいですよね?」
「・・・ほしい」
「誰の、何を、ですか?」
強請る臨也の顔を掴み、迷いの残る瞳へ甘楽が聞く。
「この前教えた事をもう忘れたんですか?調教し直しですね」
「いえる」
調教という単語に明らかに臨也が怯え、静雄が再び舌打ちをした。
「あら?怖いお顔ですよ?」
「アンタよりはマシだ」
「なんのことですかぁ?さぁ臨也、可愛いお口で教えて?」
甘楽の指が臨也の唇をなぞる。
「シ、シズちゃんの・・・おちんぽを、おれの・・・・・ケツマンコに・・いれてくださいっ!」
「よく出来ました。臨也がおねだりしてるんです。さ、早く」
静雄に有無を言わせず、甘楽が背中を押す。入れ替わりに甘楽は近くの跳び箱に座った。しゃがんだ静雄が臨也を抱き起こす。
「嫌じゃ、ねぇのか?」
こくんと頷く臨也の背中を優しく撫でる。
「これ、使って下さい」
静雄にコンドームが投げつけられた。
「臨也に中出ししていいのは私だけですから」

「いれるぞ」
「う、ん・・・」
コンドームを着けた静雄のペニスが臨也の入り口に宛がわれる。
「ふっ、ぁ・・・んっ」
深く息を吐き力を抜いたところで静雄が腰を進める。焦らされたアナルはヒくつき、ねっとりとペニスに絡み付いた。
「っ!クソッ・・やべぇ・・・」
余りの心地よさに静雄が息を詰まらせる。
顔を上げれば至近距離に臨也がいて、思わず口付けた。最初は驚いていた臨也だったが、静雄の慈しむようなキスにうっとりと目を閉じて答える。
「絶対、助けてやっかんな」
チュッとリップ音を立てて唇を離した静雄が甘楽に聞こえないように、耳元で囁く。ハッと顔をあげた臨也の顔が悲しそうに笑う。
「ム、リだよ・・・でも、うれし・・・」
泣きそうな声色で小さく答えた臨也を力強く抱き締める。おずおずと臨也の腕も静雄の背中にまわり、それが合図で静雄が腰を揺らした。
「ふぁ・・・ん、ぅ・・あっ!」
静雄が動くと切なく甘い声が漏れる。
「静雄くんのチンポはどうですか?」
「ん、おっ、きい・・・おくまでじゅぽじゅぽするっ」
涎を垂らし、腰を振る姿は女そのものだった。
「きもちいー・・よぉ、しずちゃ、は?」
臨也の言葉に静雄のペニスは更に膨張する。
「あぁ、いいぜ・・・」
答えながら臨也の額にキスすると嬉しそうに目を細め、アナルがキュッと絞まった。
「もう我慢できねぇ」
「おれもっ」
どちらからともなくキスを交わし、激しく体を揺する。
「・・・気持ち悪い」
二人には聞こえない声で、血が滲むほどに唇を噛みしめた甘楽が呟いた。


「あぁ忌々しい。その汚らわしいモノを切り捨ててしまいたいです」
意識を飛ばしマットに横たわる臨也の横で、甘楽が嫌悪感を露わに静雄の股間を一瞥する。
「なんで俺に抱かせた?」
「ずーっと胸に秘めておく筈だった恋心を、無理矢理暴かれた心境は如何なものかしら・・・とても興味深いです」
甘楽が優しく臨也の頬を撫でる。
「誤算は貴方が臨也を受け入れた事です。貴方も臨也に嫌悪でも友情でもない視線を注いでいるのは知っていました。だからこそ、貴方をも絶望させられると思ったんですが・・・存外紳士なんですね」
冷酷な瞳は静雄を映さず、暗く濁る。
「うぜぇな・・・手前の遊びに臨也を付き合わせんなよ」
「あら?臨也が私に付き合うのは義務ですもの。フフッ・・もし貴方の正義感で臨也を助けたいと思うのならばどうぞやってみてください。臨也は絶対、私のところへ帰ってきます」
「イカレてるぜ、あんた」
「なんとでも。さ、貴方はもう帰って。これ以上臨也を傷付けたくないでしょう?」
静雄は横たわる臨也を見て拳を握る。今の己の無力さを恥じて倉庫の扉を開けた。
「また会いましょう」
閉まり際に笑う甘楽の声が静雄の脳に反響した。


――――――――私から臨也を奪うなんて傲慢も甚だしいですね。臨也は甘楽のモノなんです!私達は永遠に切ることが出来ない血という絆で結ばれてるんです。出来るものならやってみるがいいわ。愚かなバケモノさん。


向こう側の君




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