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Twitterのデリオbotネタ。知らなくても読めます。
静臨←デリオからのデリ日々






「折原さぁーーーーん!」
リビングのドアを開けて叫ぶ。

「なに?」
冷たくあしらう姿も麗しい!
「今日何の日か、知ってます?」
PCに向かう背中へ尋ねた。
「・・・燃えるゴミ?」
「オレの 誕 生 日 でっす☆」
「あっそ。じゃあ燃えないゴミの日だね」
折原さんが画面から目も離さずに答える。クール!!好きだ。とにかく好きだ!
「プ、プレゼントとか無いっすか・・・?」
「誕生日って、今知ったのに?」
「デスヨネー!じゃおめでとうのチュ・・ブベッ!!!」
言い終わらないうちに分厚いファイルでぶたれた。親父にもぶたれたことなんてないのに!親父いないし。
「なんか言った?」
「いいえ、なにも」
「はい。あげる」
あげるって単語に勢い良く顔をあげると目の前には1万円札。
「これで好きなもの食べておいで」
「オレは折原さんと・・」
「今日は忙しいの。ゴメンね」
嘘。
今日締め切りの書類も商談も無い。
アイツが来るんだ。オレが気付かないと思ってるのかな。波江さんが休みなのも、昨日ギュウギュウに詰めてた仕事も、いつもより薄めに付けた香水も全部アイツの為だ。そしてアイツの為に、オレを追い出す。
鼻の奥がツンとしていられない。思わず洗面所に駆け込んだ。
鏡に映った顔を見て、アイツと同じ顔をみて、知らないうちに涙が零れてた。

折原さんがオレを見てないのは知ってる。辛いとき、オレの向こうにアイツを見て縋ってくるのも知ってる。オレもそれに甘えて折原さんに触れたから、ズルいなんてことは無いんだ。
名前を呼んでくれれば、一瞬でも手を触れてくれれば、それで幸せなんだ。幸せなはずだったんだ。
1歳になってアンドロイドでも強欲になると知った。


「っ・・シズちゃん、此処じゃダメ」
顔を洗って廊下に出ると折原さんの声が聞こえた。
玄関を覗けばオレと同じサイズの黒い革靴。分かっていたことでも現実は辛い。
リビングのドアの前に立つと衣擦れの音がして折原さんの甘い吐息が零れた。
「んだよ」
「デリオいるから。ちょ、ダメだってば!」
ドア越しでも何をしてるかなんて分かる。
「聞かせてやろうぜ」
「はぁ!?」
「テメェが誰のモンか、分からせてやるよ」
アイツの言葉が聞こえてマンションを出た。


オレの夢はいつだって幻なんだ。
あぁ・・・最低な誕生日。




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