*ひとりあそび

オナニーの日




「はぁっ・・・」
微睡みの中、耳に入ったのは熱っぽい声。
不振に思って耳を澄ませば、吐息混じりにクチュクチュと水っぽい音。
男ならすぐに連想出来る行為。

「何してんの?」
目を開けるとシズちゃんが俺の横でオナニー真っ最中。
「ん?起きたのか」
なんでもないように言うけど異常な状況だよ、コレ。
「足りなかった?」
「テメェの始末してたら勃った」
シズちゃんの指差した先には汚れたタオルが丸まっていた。
「挿れるの、よく我慢したねぇ!えらい、えらい」
傷んだ金髪を撫でたら不機嫌そうに顔を逸らした。

「続けなよ」
「は?」
「突っ込む以外なら何しても良いから。シズちゃんのオナニー見ててあげる」
厭らしく微笑んで間近にある薄い唇へ口付けた。

俺を腕の中へ抱え込んだシズちゃんが首筋に顔を埋める。
「いつも臭ぇって言うくせに」
「今も匂うぞ?」
「じゃあ嗅ぐなよ!!」
確かにセックスしたまま寝落ちたから汗臭いだろうけどヒドい。
「好きだ」
「はぁ?」
「テメェの匂い好きだぞ」
なんなのもう・・・
「興奮する」
耳の後ろあたりで掠れた声で言われて顔が熱くなった。
汗で張り付いた襟足を舌が這う。
「っ、俺はいいって」
「俺がしてぇの」
ちゅっ、と音を立てて吸われる。
お尻にシズちゃんのが押し付けられる。先走りに濡れてるみたいでヌルヌルする。予想以上に反応してて驚いた。
「ん、こんなのでイイの?」
匂い嗅いだりキスしたりだけで、直接煽られることなんてなさそうなのに。
「臨也なら何でもいい」
右手でシコりながら執拗に耳を舐められて、俺のペニスも少し反応し始めた。
尻へ押し付けた亀頭が円を描くように動くのがもどかしい。本当は挿れられたって構わないけど、これはあくまでオナニーだし。
「シズちゃん」
身を捩ってシズちゃんと向かい合う。
「指なら挿れていいよ」
足を絡ませてシズちゃんのペニスに俺のを擦りつけると、シズちゃんが掴もうとしたから腰を引いた。
「なんだよ」
「ダメだよ、オナニーだもん」
「ちっ!」
舌打ちして渋々尻へ手を回した。
シズちゃんの精液に濡れた指がアナルに差し込まれる。
「んぅ・・・」
使ってたばっかりで楽に挿るけど、少し熱っぽい感じ。腫れてるかもな。
「熱ぃ」
ゆっくり抜き差しするシズちゃんに合わせて俺も自分のを扱く。
「ふっ・・あ」
長い指がイイところばっか刺激して追いつめられる。
シズちゃんも汗が垂れてすごく色っぽい顔しながら必死に自分のを弄ってる。二人でいるのに別々にしてるってのが滑稽。でも気持ちいいし、思いのほか楽しい。セックスになったら俺は余裕ないからね。シズちゃんの気持ちよさそうな顔見れていいかも。

「ぁ、出る」
「んあ・・お、れも」
ほぼ同時にお互いの腹へ吐き出した。
そのままシズちゃんが俺の上に覆いかぶさってきて、抱きしめられた。
べたべたの下半身は不快だけどシズちゃんの胸の中は心地いい。シズちゃんの匂いを肺いっぱいに吸い込む。
「テメェ、マジで池袋来んなよ」
「またそれ?」
「匂うんだよ」
「何だよ。臭いって言ったり好きって言ったり」
言いつつシズちゃんの鼻先が髪をくすぐる。
「他のヤツがテメェの匂いに気付いたらどーすんだよ」
は?
そんな獣染みた行動、シズちゃんだけだっつーの。
でもシズちゃんの顔は殊更真剣で笑える。そんでもって可愛いと思う俺はご愁傷様だな。
「はいはい。じゃあシズちゃんが新宿来てね」
宥めるように背中をなでて、待ってるからって呟けば金色の大型犬は落ち着いた。
仕方ないから今日は一緒にお風呂入ってあげよう。




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