俺は刀を振るう。
琢磨は脚を薙ぐ。
爆竹と槍のコンビネーションは、周囲を圧倒していた。


「魚wwマwwジww鬼ww畜ww なんだよそれ、ありえないだろマジキチwwww どう刀振り回したらそんなに一気に切れんだよ、神Ktkr!」
「そりゃこっちが聞きたい。どんな脚技使ったらそんな音鳴るんだよ、さっきからありえない音鳴ってるくない?」
「ぶっはww 鳴らぬなら、鳴らせてみせようww」


バキイィッ! と、琢磨に膝蹴りされた男の胸骨が折れた。末恐ろしい。
切磋琢磨。
実に、正に、琢き抜かれた強さだった。


「いーおたんww」
「誰が“いおたん”だよ、気持ち悪い」
「辛辣\^q^/ でさ。暗黒大陸って知ってるか?ww」


俺は突き刺した刀を抜き取って、琢磨に目を遣った。


「暗黒大陸って、今ド派手に戦争してるとこ? まだ未開発の」
「おうwwww その暗黒大陸だぜwwww」


まあ、その“ド派手な戦争”も、多分、戦争谷騒禍が糸を引いているんだろうけど。


「そこにな、派遣される為の奴隷だったんだよ、俺wwww」
「…………ああ、なるほど」


暗黒大陸に生息している獰猛な野獣や像、牙や角を持った動物が、生物兵器になることもある。


「人間と比べて余りにも巨大で、人間と比べて余りにも狂暴なその動物たちと、対等、いや、圧倒しなきゃいけなかった。だから、お前はその強さを手に入れなきゃいけなかった」
「その通り!ww」


また脚を薙いで琢磨は敵を倒す。その上背もない小柄な身体の、どこにそんな力が。


「でも、いいのか?」
「はあ? 何がだよwwww」
「こんなことをしたくなくて、お前は、μtoから逃げ出したんだろ?」


俺が刀を旋回させる。ガキンッと受け止められるが、俺の刀は一本じゃない。もう一刃で肌を切り裂いた。


「なのに、結局戦ってんじゃん。なに、バカなの?」
「ぶっは!ww 俺バカなのは当wwたwwりww前wwだwwおww むしろバカは俺の嫁!」
「言ってなよ」


俺は溜息をついた。


「――――まあさ、確かにそう思ったりは、しちゃうわけなんだよな」


切磋琢磨は言う。


「あーあ、とか。折角逃げてきたのにな、とか。俺はあのとき、確かに“暴力を振るいたくなくて”逃げ出してきたのに。なんでこんなことしてんだろって、お前に言われて思った」
「……………」
「だけどさ」


琢磨はまた脚を振るう。奮う。


「いいんだよ。きっとこれが正しいんだよ。俺は絶対間違ってないさ」


暴力を振るいたくない。
そんな感情は、もう死んでしまったけれど。
もう誰も傷つけたくない。
そんな決意は、もう死なせてしまったけれど。

間違ってない。
だって、だって。


「俺の家族をまだ、死なせるわけにはいかない」


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