その日、《ギルド》の連中は、俺達をまるで家族のように持て成してくれた。一階で共に食事をし、共同風呂に入り、寝床を一室わけてくれた。
賑やかで暖かくって優しくって柔らかい。

これが家族っていうものなんだろうか。

血の繋がりなんかないくせに、それでも本当の家族みたいで。
血縁ではない。
絆の繋がり。

底抜けするような楽園だった。

まさか、俺に家族みたいな生活が出来るなんて、思ってもみなかった。
柄にもなく、居心地がいいと感じていた。

でも、それと同時に、妙な暗い気配を感じていた。

でも、俺達は――――……。



*****



「こんばんは、誘くん。こっちは暖かくて過ごしやすいよ。そっちは? ……えっ? 寝てた? ふざけないでよ、あたしが“仕事”してる間に誘くん寝てたの? ……今は、夜中の三時? あはははっ、よかったじゃん、そんな時間に起きれて、夜のおやつ食べれるよ。…………うん、うん。そう、そうなんだ、見つけちゃった、あたしの“お気に入り”! ラッキー。まだ相変わらずあの格好してたよ、びっくりした。……んー、気をつけるって。あたし弱っちいからね、力無いし。ここにはあの切磋琢磨もいるんでしょ? 怖い怖い……え? いいの? へぇ、優しいんだね誘くん、何企んでんの? ……いやいや、君がこんなに優しいなんてオカシーもん。まあ、有り難く頂戴するけど………えっ、貸すだけ? けっちくさいなあ、だからモテないんだよ。………うん、……うん。わかった、報酬に一人くれんだね? いいよおっけい! まあ、正直あたしの“仕事”じゃない依頼だけどね、でも仕方ない。だって“お気に入り”の彼なんだもん。…………ああ。やっぱり、奴隷狩りしたの怒ってたっぽい。誘くんも罪作りな男だね。……言っとけ。でさあ、うん、……そう、そうなの。彼と切磋琢磨が一緒にいるっぽい。……うん。……うっわ、えげつな、最高! ……うるさいな、わかってるでしょ? 誘くん。これ言わせるの何回目なの? あたしはね――――戦争を愛してるんだよ――――あははっ、うん、だよね。性格わっる! ……うん、気をつける、心配しすぎだよ。はあ? キモい。……うん。うん、じゃあね、おやすみなさい。いい夢を」


「さぁーて」


「久しぶりだね、回遊魚くん?」



俺達は、まだ、知らない。


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