それは、とても美しい建築物だった。無知無勉学無教養な俺にも、この建物は計り知れない魅力が詰め込まれていると感じていた。
他の家並みの色とは違う、セルリアンブルーの壁に赤茶色の柱や窓の格子、ドア。それなりの高さがある割に目立たないのは、このあたりに家並みや市場が密集しているせいだろう。


「ここ、俺達の巣窟的なww」
「普通にアジトって言ってくださいよ、琢磨さん」
「俺達は《ギルド》って呼んでるぜ、ぶっはマジキチ!ww」
「そう呼んでるの琢磨さんとファナだけっすからね!」


切磋琢磨という男と四十人以上の群衆に連れられ、俺達はこいつらの住家に連れていかれた。
まだ切磋琢磨以外は俺達に敵対心を持っているようだが、そこはスケベ女の使い用。あいつの社交性に応じ、段々と打ち解けるようになってきた。


「自己紹介しようず! 俺はさっきした通り切磋琢磨ってんだけどお前らは?ww」
「……俺は言ったから」
「緑川萵苣、こっちは花瓶硝子」
「どうも」
「ふぅん? 萵苣に硝子ね、ヨロシコwwww つーか硝子鬼美人だな!wwww」
「まあ……、そんな、美人だなんて…………あと五回言って?」
「ぶっは!wwww おもろ、くそわろた!wwww」


切磋琢磨とスケベ女は結構気の合うタイプらしい。
まあ、似てるよね。
お気楽そうなアタマしてるとことか。

その建物に入るとまず見えてくるのは簡易なエレベーターだ。エレベーターというより、工事作業に使うような上り下りのきくクレーン台に近い。トタンとアルミを繋げたようなそれが、一回真ん前にどどーんと鎮座していた。


「お帰りなさーせ、ボス」


ふと声がする。

向かって左側に小屋のようなカウンターが見える。その中には、一人の女がいた。
東洋特有の豪華絢爛な民族衣装を着た女だった。歳のころにして十七ほど。黒髪を一つの太い三つ編みに結わえてある。顔立ちはどこか質素だが、真珠のような淡い煌めきを持つ女だった。


「ただいま帰ったぜww お客さん連れてきたんだおwwww」
「せやね。あちきの勘違いでねぇべしだらボスが後ろに見知らぬお人ば三人見えとるけん。阿呆でもわかっぺが」
「相変わらず、お前、何処の国の言葉だww」
「ボスに言われどうなかよ」


しっちゃかめっちゃかな喋り方をするその女は、俺達に小さく会釈をした。


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