「えぇーやぁーだぁー!」
「俺達も連れてってぇ!」
「ッだぁぁあぁあっ、もう、離れろよ二人とも! しょうがねぇだろ! お前ら昨日何もしてないんだから! 今日はレオさんに貢献しろよ!」
「そんなこと言っておにーさん! 町で白線から落ちたら負けゲームとか一人かくれんぼとかコンビニピンポンダッシュとかするつもりなんだろ!? ずりーよー!」
「誰がするか! なんなんだその遊びは! 最初のヤツしか共感出来ねぇよ!」
「はっ……、まさかっ! おにーさん、勝手に本屋のアルバイトごっことか、一人氷鬼とか、踏み切りチキンレースとかしたりするのかしら!?」
「まさかお前ら、二人でそんな遊びしてんの!?」
「とにかくだよ、ハニーさん、シュガーさん。三人は車のタイヤを交換しにいくみたいだし、二人は黙ってこっちの手伝いをしていてくれ。トーンの出し入れと収納係だ」
「ほら、レオさんもああ言ってるぞ、大人しく従え」
「おにーさんのあさはか野郎!」
「あさまし夷!」
「萎びたレタス!」
「野菜戦隊・ドゲザグリーン!」
「オリジナリティ溢れる罵詈雑言をありがとう」
「「うわぁぁあぁぁあ、行ぃーきぃーたぁーいぃー!」」


ウラオモテランド二日目の朝午前十時。
俺と魚と硝子は、レタス号三世にタイヤを取り付けるべく、俺尾家を経った。
玄関口ではやたらと着いて来たがるフルボトル姉妹と暫しの論戦を繰り広げてしまった。しかし、レオさんがそうはさせず、結果は三人での行動と相成った。
ただでさえこっちには色々とメンドクサい(道行く男共にナンパされたり、本人も本人で、見かけたブティックに目を奪われたり、障害対象の多い)硝子がいるのだ。フルボトル姉妹で姦しさが加味されるのは正直御免である。フルボトル姉妹を引き連れて行くことをなんとか回避することに成功したのは、中々功績と言えるだろう。これで硝子に振り回されるのに専念出来るわけだ。実にめでたい。…………めでたくない。

――ちなみに。

今俺達は普段とは違う出で立ちだった。
レオさん曰く、俺達の格好は相当目立つらしい。俺の緑の髪も、魚の軍兵服も、硝子のディーラー姿も。
“良ければ服を貸そう。ていうか出来れば着替えてほしい。流石にそんな形した人間が我が家から外出したのを見られたら、近所の人達に笑われる”
ホモ漫画描いてることは近所の人達に笑われないのだろうか。

ともかく。

一応宿主である彼女をたてるべく俺達はそれぞれ服を貸してもらった。何故か男物の服まであったのだが、「ああ、漫画の参考資材として購入したんだよ」「なるほどね、女には男物の服とかわかんねぇだろうしな」「ああ、どれが一番脱がしやすいのかを見極めるのに、相当の枚数を要したよ」「アンタがそういう目的だったってことを見極めるのに、今までの秒数を要した」なんていう会話の末、その事実が不思議で無いことに至った。
不思議であって欲しかった。


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