夢患いの診療録 | ナノ
あとがき 1/1

 心がわからないキャラクターは人の心も自分の心もわからない。自分がなにに惹かれるのかも、相手がなにに傷ついているかもわからない。そういう主人公が心を知っていく物語が、この『夢患いの診療録』です。
 元々はわたしが中学生のころにノートに書き殴った小説で、そのリメイクとなっています。夢という病に侵された少年少女を救っていくというストーリーで、主人公の「夢を見ない体質」という設定もそのままでしたが、ふと「夢を見ない=記憶の整理ができない=記憶に付随する感情も忘れるのでは?」と思い至り、このような形となりました。
 他人の気持ちに頓着のない主人公は、はじめ、読んでいる側あるいは書いている側も痛々しいな〜という行動を取りがちでした。不器用で、ものを知らなくて、無鉄砲な彼が、心を知ることでまっすぐになっていく。鬼林と友達のような絆を紡いでいく過程も、焼野原を救えないもどかしさに悩む感情も、紫香楽空寝に共感できず打ちひしがれる様も、鯱鶫に共感していたのに救えなかった虚無感も、そしてやっと救いたかった彼女を救えた最後も。どんどん主人公の心が澄んでいくようで、私自身が喜ばしい物語でした。

 でも、落ちました!
 電撃大賞三次落選です!
 悔しい……!

 評価シートが送られるのはまだ先なのですが、個人的には反省のしようのない出来映えだったので、なんかもうめちゃくちゃ悔しいです。
 特に、社会人になって初めての投稿ということもあり、ここで芽が出たら本当に嬉しいなと思っていたので……。
 わたしの嘆きは割愛します。
 心を知る物語・『夢患いの診療録』でした。商業としてデビューすることはできませんでしたが、皆さまに愛していただけると幸いです。
 ちなみに、わたしも紫香楽空寝はフルネームで呼んじゃいます。


 鏡 も絵/2020.09.14.




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