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愛と夕日を取り戻せ



男性主人公の話です。BL要素はありません。
主人公は柳より一学年上のテニス部員です。

名前変換は苗字のみ使用しています。
 

 頭ごなしにガミガミと怒鳴られるのは随分と久しぶりのことだった。もっと言うと、家族以外の、自分より年上の人間に声を荒げられることなんていつぶりなのかも覚えていない。初めてのような気もする。
 どうして怒られることになったのか。柳にはその原因も、本当はあの時どうすべきであったのかも、わかっていた。
 自分たちの学校で行われた他校との練習試合で、ダブルスに出場した柳は二度に渡ってチャンスボールをパートナーである一学年上の先輩、泉永遠子に譲ったのである。
 一度目は、泉が柳の見送ったボールに追いつけずに失点。二度目は、泉は柳のミスをカバーするどころか、柳の見たてでは不得手とするショットであったにも関わらず相手が追いつけないところへ返して得点にし、もともとあった相手との点差をさらに広げ、相手にだめ押しをした。
上級生の意地を見せる泉のプレイに沸く部員たちの声援に混じって、ベンチにいた顧問に柳と怒声が飛んできたとき、柳はこの試合の後、いつもさんざん顧問にどやされている泉に変わって自分がどやされることを確信した。そして予想通り、試合が終われば鬼の形相をした顧問に呼ばれての大説教である。同じく試合に出場していた泉も柳の横に立ってその説教を受けていたが、顧問の怒りの矛先は全て柳に向けられていた。
 とにかく怖いことで柳が中学にいたときから有名だった顧問が怒鳴る場面を、柳はこの数ヶ月数えきれないほど見てきた。どのような流れで顧問が部員に説教をしていくのかもわかっていた。柳は、いずれ来る形だけの弁明の機会を与えられた時に、あのときミスを犯した理由と次に同じことはやらないと言えば、顧問も早々に説教を切り上げるだろうと踏んで、じっと顧問の話を聞いていた。けれど、いくら待っても顧問は柳が思っているような、こちらの意見を伺うようなことをしなかった。まるで、重箱の隅でもつついてきたかのように、顧問は次から次へと柳のミスを挙げていった。長くても十分以上説教が続くことは無いと思っていたが、この様子では終わる気配すら感じられなかった。
 柳の視界の端で、怒られ続けている自分の様子を見ていた上級生が空を仰いだ。柳はこのとき、目を開いたまま眠っていたかのように顧問の話を途中からまるで耳に入っていなかったことに気がついた。これはまずいと、姿勢を正すとそれを見計らったように、話を聞いているのかと顧問が尋ねた。
「ハイ」
 内心の焦りがばれぬよう真面目さを装った声で柳が返事をすると、顧問は直立不動で唇を噛み締める柳の顔をまじまじと見てから、ふうとため息をつき腰に当てていた手を下ろした。
「泉とダウン行ってこい。」
 説教終わりを告げる言葉に、隣にいた泉、そして彼らを囲んでいた部員たちの緊張が一気に解けて、ぱらぱらと話し声が始まった。
「お疲れ。これ柳のジャージな。それと、さっき言われたことはあんまり気にしなくていいと思うぜ。」
 気を利かせてくれたのか、桑原がベンチではなく部員たちの荷物がまとめてある場所に置いてあったはずのジャージを取ってきて柳に手渡した。すまない、と柳が礼を言う前に桑原は丸井に呼ばれてその場を後にしてしまった。柳は、桑原から受け取ったジャージを頭から被るように着た。襟から顔を出したところで、泉が自分を待っていたことに気がつき、履こうと思っていたジャージのズボンをベンチに投げた。
「柳、ダウン行けるか。」
「はい、行けます。」
「じゃあ、行くぞ。」
 疲れているせいか、それとも顧問と同じく腹を立てているのかわからない、いつもより少し低い声でそういうと泉はコートの外へと歩き出した。
 テニスコートを囲うフェンスに沿って、柳と泉は歩くのと大して変わらないスピードで並んで走った。二人の揃った足音に乗せて、柳の頭に浮かんでくるのはさっきのコーチの言葉だった。
「そんなんだからお前は、幸村と真田のようにシングルスに出せないんだ。」
 これを言われてしまってからというものの、柳は後頭部を強打されたようにぐわんぐわんと脳が揺れていた。
 柳がシングルスの試合に出られないのは、三つしかないシングルスの枠を半年前まで中学生だった一年生で全て埋めてしまっては、これまで顧問の前で頑張ってきた上級生たちに面目つかないからという、顧問の都合によるものだとしか考えられなかった。だから、顧問はシングルスの三つの枠のうち二つを幸村と真田にあて、そして残りの一つは上級生たちに割り振ったのだ。それがわかっていて、柳は幸村と真田のいる一年の補欠として、同じく上級生のシングルス枠の補欠である泉と一緒にペアを組み、ダブルスの試合に出ていた。
 けれども、顧問はそのように試合のメンバーを組んでいないと言い張っていた。
 そんなはずはないだろう。と柳はあのとき顧問に声を大にして言ってやりたかったが、全ての采配を決めている顧問に向かってそんな生意気な口を利けるわけがなかった。出来ることと言えば、黙って怒鳴り声を顔面に受け、その後に顧問からはなれたところで、頭の中で理不尽だとお前の都合だろうがと顧問への不満をひたすらに並べ立てることしかない。
「柳、」
「えっ、はい。聞いてまっ、いっ!」
 突然顔を覗きこんできた泉に、柳は反射的にそう答えたが、言い切る前に泉の肘が柳の脇腹に入った。
「聞いてなかったろ。だってまだ俺、何にも言ってないもん。」
「すいません。」
 柳は詫びたが、その声は柳の口の中でこもってしまって、足音にほとんど掻き消されてしまった。眉をひそめた泉は走るのをやめて歩き出した。そしてまた柳の顔を、今度はじっと様子を伺うように見た。泉の前髪はタオルで雑に汗を拭いたせいで乱れていた。
「おまえ、不満があるっていう顔してるけど、先生に怒られてふてくされてんの?」
 いきなり肘を入れられたら、こんな顔になるのは当たり前だろう。とのど元から出てしまいそうになるのを柳はどうにか堪えていて、何も言わない柳をよそに、泉は口を開いた。
「ふてくされてんなら、俺お前のフォローなんかしないからな。」
 泉の脅しにもとれる言葉は柳の答えを自動的に決めた。
「ふてくされてません。」
 柳は泉が望むようなことを言ったが、当の泉は不満そうな目を和らげず、さらに鋭くさせた。
「そう。でも、お前がそんなんじゃ話をしたって意味ないし、反省会は後にしようぜ。あとのストレッチとかは一年とやって。それじゃ。」
 泉は冷たく言い捨てて、柳に背を向けて走っていってしまった。その後を目で追えば、泉は、泉と同じ学年でただ一人シングルスに出場していた人物のストレッチに加わってしまった。置いてけぼりにされた柳は、今のことなんて何もなかったように和やかに笑って話をしている泉たちのもとに行く勇気もなく、置きっ放しになっていたジャージを取りにコートの入り口までとぼとぼと歩いていった。

***

 練習相手となった他校の顧問からの講評を利いている間も、一年生の義務となっている後片付けをしている間も、その後の練習終了のミーティングの間もずっと、柳は自分がシングルスに出してもらえない理由を考えていた。
 自分で収集した客観的なデータによれば、真田と幸村と比べるとやはり見劣りはするものの、柳はシングルスに出場しても何も問題はない。むしろ、シングルスを一年生全員にしてメンバーを組んだ方が今日の練習試合のものよりも戦力はずっと上になるくらいだ。結局のところ、監督の都合で自分はシングルスに出られないということで、柳の答えは落ち着いてしまう。けれども顧問と泉は、柳が正解であると疑わない答えに×マークをつけて突き返す。いくら考えても、どんな理由で不正解なのか、なにがいけないのか柳にはまるでわからない。
 二進も三進もいかないこの状況にむかむかとしているだけでいるのが加減いやになって、柳は現実逃避に家の玄関を開けるまでの秒読みカウントダウンをはじめた。けれども、顧問と泉の言葉は頭にちらついてはなれず、苛立ちを紛らわすことは難しかった。
「おーい、柳!」
 柳の自宅に着くまでのカウントダウンの針が十分ほど進んだあたり、本日の他校との合同練習が終わって、校門で部員らが散り散りになって帰路につこうとしているところで、丸井が柳を呼んだ。柳はわざわざ丸井のところに向かうのも面倒でその場で用を聞こうとするも、丸井はこちらに来るように手招きをするだけだった。仕方なく丸井のところまで行くと、丸井は今度は反対のほうに向かって大声で泉を呼んだ。
「泉先輩!柳こっちにいました!柳、泉先輩がなんか用事だってよ。」
「用事?」
「そ!じゃあ、お疲れ。あー腹減った。まだ日暮れてないから今日はケーキ屋でも行くかな。」
 丸井は無邪気に笑い、あいかわらずの食いしん坊ぶりを思わせる独り言をつぶやいて、柳の前を去っていった。それと入れ違いに泉が、丸井を見送る柳を呼んだ。試合の後、顧問と泉に怒られてからも依然として自分は二人が言うようにふてくされていた自覚があった柳は、また泉に今度は本格的に締め上げられることになるだろうと予想がついていた。柳は、ばれないようにため息をつきながら、泉の影を踏むか踏まないかの、叱られるのに適切な距離を開けて彼の前に立ち、足下にカバンをおろして、さあなんとでも言ってこいと気をつけの姿勢を取った。そうやって身構える柳に泉が言ったのは、柳が拍子抜けしてしまうようなことだった。
「海行くぞ」
「海?」
 柳は自分が泉の後輩であることも忘れて、信じられないものを見るような目を彼に向けた。海だよ、と大真面目に答える泉は、試合が終わったときとも、普段の練習のときとも違って、妙に意気込んでいて、少しうざったかった。
「何で海になんか」
「なんでって、反省会に決まってるだろ。まだ今日の試合の反省やってないし。」
「反省会なら、わざわざ海になんか行かなくても」
 思ったことをそのまま口にすると、うるさいと叱り声が飛んだ。
「海行くっつったら海行くんだよ。」
 自分が先輩であることを笠にして横柄な態度を取る泉に柳は、はいともいいえともつかない返事をし、歩き始めた泉の後ろをついて歩くことしか出来なかった。
 目の前にあるはずなのに、いざ向かおうとすると海は遠かった。
 泉は通学路を外れて、海を右手に見ながらずっと海岸線を歩いていたが、海と泉らを阻む道路を走る車は数も多く速度もかなりのもので、信号の無いところで横断するのは難しかった。           
 結局二人が浜に下りることができたのは、通学路の途中にある横断歩道を渡ってすぐのところだった。
 うだるような暑さがようやく消えた秋の海辺は、傾いている太陽の赤と夕闇の薄灰色の二つに分けて染められていた。遊泳期間もとうにすぎ、風も波もおだやかな今日の海には、人はなく、さざ波が白く泡立って、夕日の赤に染まる海面をちかちかと白に黄色に光らせていた。光を点滅させる海に対して、影に飲まれて日の光が射してこない砂浜には、光はもちろん色すらも消えてなくなっていた。
 後ろを猛スピードで走り抜けていく車のタイヤが転がる音と一緒に聞こえてくるのは波の音。音もなく吹いてくる海風は弱く、髪の毛も揺らさないかわりに、絡み付くような磯のにおいを辺りいっぱいに漂わせるので、寒いわけでもないのにくしゃみが出そうになった。
 目的地であるはずの浜に降りてもなお、泉の足は太陽に向かう歩を止まることはなかった。柳はどこへ向かっているのかわからないまま、その後ろについていった。砂がローファーに入り込んで、歩くたびその粒がローファーと足の間で転がっていくので気持ちが悪かった。
 しばらく歩いたところで、ようやく泉が後ろを振り返った。柳もそれにならって、後ろを振り返る。この浜を降りるのに使った階段が小さくなっていた。しかし、泉は歩くのをやめなかった。おまけに、いつの間にか靴を脱いでおり、裸足で大股で歩くものだから砂が靴に入らないように慎重に歩く柳にはそれについていくのも必死だった。
「どこまで行くんですか?」
 とうとうしびれを切らして、柳は泉の背中に問いかけた。それに振返りもしないで泉は頭をかいた。
「特に決めてないというか、人があんまりいないところだな。本当は海ならどこだっていいんだけどさ」
 泉は、左側をあごで指した。浜に腰掛け、夕日を見ている人達がちらほらといる。
「視界にカップルがいるといやじゃん。しかもうちの学校の制服着てる奴らもいるしさ。な?」
泉の肩を寄せ合う二人組に向ける視線は恋人がいない者の僻みがあるのか、柳にはわからない。思えば、泉について柳が知っていることは、テニスのことと自分より学年が一つ上だということ以外なかった。
「それなら、波打ち際でいいじゃないですか。あそこなら、誰もいませんよ。」
 柳は投げやりに海を指差した。ざらりと波が鳴る。
「じゃあ、そうしよっか。」
 砂の色を頼りに海水がかからないぎりぎりのところを靴を脱がないまま歩く泉の数歩後ろを、さきと同じように柳はついて歩いた。不意打ちに大きな波が起こり、二人の革靴を海水がさらっていこうとする。柳は慌てて水から逃げるが、砂に足を取られてよろけてしまった。転ばないようにと踏ん張る。それを見た# 苗#は肩を揺らして笑った。
「先輩、笑うことはないでしょう。」
「だって、何もないとこで転ぶところだったから。」
「転んでません。」
「でも、転びそうだったろ。」
 転びそうになっている自分を珍しがる泉に、柳は思わず眉間にしわを寄せた。泉はそんなことを気にせず、アレを見てみろよと今歩いているずっと先を指差した。しかし、指し示した先には、空気と日の光でほのかに紫に霞がかる遠くの景色があるだけだ。目を細めてみるも、そこに何があるのかわからない。
「柳、どこ見てるんだよ。夕日だよ夕日。」
「夕日がどうかしたんですか。」
 泉が指差した、沈み行く太陽は赤々と焼けている。雲にかかることなく、見事なまでに丸い。だが、赤く丸い夕日は、学校帰りに毎日見られる。わざわざ男と二人、練習で疲れた身体を引きずってでも浜まで降りて見るようなものではない。むさ苦しい真似をする理由を尋ねられて、泉は足下に落ちている流木を拾ってまた太陽を指した。
「夕日が海に沈むの見たくって。」
「なんで、」
 そんなばかばかしいことを思いつくんだと口を開きかけたところで、柳は何かがおかしいと気がついた。白い木の枝の先にある太陽とその周りの景色を比べる。もう間もなく完全な円を欠く太陽の軌道の上に水はない。あるのは、観光スポットとなっている陸続きの島だ。
「どう見たって、海に沈まないじゃないですか。」
 柳の冷静な指摘に、泉は手にしていた流木を捨てて苦笑いを浮かべた。
「そうなんだよ。海に沈むと思ってたら、違ったわ。海に沈む夕日見たら、なんかお前にいいこと言ってやれると思ったのにさ。」
「たとえ海に沈んだとしても、泉先輩が俺に言ういい言葉なんて何も浮かばない確率の方がずっと高いですよ。それとも、夕日見てたら何かいい言葉でも浮かびましたか。俺はとてもそうなるとは思えませんけどね。」
「ひでえ。そんなに俺って、考えなしに見えるの?」
 柳はそんなことないです。という遠慮ではなく、ありのままを漏らした。
「こんな何もないところに目的もなく連れてこられたら、そう思いますよ。」
「だって、俺とお前と反省会だからってマックとか行っても、気まずくなるだけでつまらないし。時間の無駄なるだけだろ。海なら金もかからないから、財布にも優しい。」
 面と向かって泉に一緒にいてつまらないと言われても、柳はそれにただうなずくしかなかった。柳も口にこそしないが、泉とまったく同じことを思っていたからだ。たいして美味しくもないハンバーガーとポテトを会話もほとんどないままかじっているくらいなら、ただ夕日を見ている方がまだマシだ。
「……それはそうですね。」
「そうだろ。」
「だったら、その反省会をやりませんか。」
 柳はカバンからペンを取り出し、ノートを開いた。開かれたページにはすでに柳が自分で調べたデータでほとんど埋められていた。狭い余白にペン先を押し付けて、泉の言葉を待つが泉は海に沈まない太陽を見ているだけで何も話さない。「先輩」と呼んでみても、生返事をするだけでほとんど反応はない。無理に言葉を促す術を持たない柳は、しかたなく泉と同じものを見ているしか無かった。
 太陽はじりじりと傾き、とうとう観光地のシンボルとなっている展望台と山の後ろに差し掛かった。丸が欠けた途端、放射状に伸びる光は一本一本が槍のようにグンと伸びて、柔らかなものから刺すように鋭くなった。その逆光で、やっと太陽に背にして柳の方を向いた泉の表情は見えない。「あのさあ」と改まった調子で泉がその口をようやく開いた。柳は背筋を伸ばして、ハイと返した。
「次の試合の前に、一回勝負しようよ。シングルスで。」
「勝負」
 柳の呟きに泉はうなずいた。
「だって、俺とお前って一緒に試合には出てるけど、ちゃんと一対一でやり合ったこと無いじゃん。」
「ですが、」
 すでにその勝負の行方は柳の手にあるノートの中で、精密な計算によって導きだされている。泉だけでない、幸村や真田、上級生で唯一シングルスに出場する人物とだって勝敗はついている。それを実際にやったところで、意味なんてあるのかもわからない。柳が、遠回しに断ろうとすると、それを遮るように泉は話しだした。
「0ゲームで俺の負けになるってわかってるからやっても意味がない?
 俺はお前ら一年の枠ぶんどって、シングルスに出るんだから。そんなこと絶対にさせるわけねえだろ。それに、せっかくのチャンスボールを人に譲るような奴に、俺は負けるとは思わないしな。」
 痛いところをつかれて閉口する柳に、泉は更に追い打ちをかける。柳は逆光で見えなくなとも、泉の表情が牙を見せて笑っているのがわかった。
「負かしてやるから、一回やろうぜ。」
 ざわりと鳴ったのはすっかり夕闇に飲まれてしまった海ではなく、柳の今の今までくすぶっていた闘争心だった。左胸は波の音を飲み込むほど音を立てて脈打ち、騒ぐ。
 柳はノートに当てていたペンを胸のポケットにしまい、震える鼓動を押さえつけるように右の拳を左胸に押し当てた。それでも胸騒ぎは止まず、クツリと笑いがこぼれる。
「そこまで言うのなら、やりましょう。あなたが俺に勝てないと実証してみせますから。」

 そうこなくっちゃと満足した顔をしている泉を見据える、柳の瞳には今が最後とばかりに激しく光る太陽の光が映りこんで、炎をあげていた。


  
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