がくんがくんと揺さぶられる。少し気分が悪くなった。食後すぐは嫌だと言ったのに円堂は聞かなかった。久しぶりに鬼道が日本に帰ってくる。飛行機の関係で到着は九時頃。まだ時間はあるからとか円堂は抜かして平気な顔をしていた。俺は必死に抵抗したが相手は円堂だ。抗えるはずなどなかった。梅雨独特のじめじめした湿度のせいか、この狭い四畳半の部屋はいつもより息苦しい気がした。ただ、雨音のおかげで声を抑えなくてよさそうなのが救いだった。

二人で天井を見上げる。円堂はまだ息切れの状態だった。まぁ俺もだけど。汗とか色々がシャツと身体に纏わり付いたべたつきが不快だった。布団を蹴り、畳に脚を投げ出す。風呂入って着替えても部屋の匂いとかで勘のいい鬼道は気づいてしまうかもしれないな。そう考えていたら、円堂が全く同じことを言ったので笑ってしまった。カッカッと窓の方から音がした。見ると円堂が窓の桟を蹴っていた。ざざざと音をたてて窓を開けた。空気の入れ換えでもしようと考えたのだろう。どんよりと雨上がりの匂いがした。あまり効果は望めなさそうだった。チャイムの音がした。





お前らなぁ…
title:降伏
110612