許して、許して、と頭の中でアイツが叫ぶ。泣いて泣いて目の周りなんか瞳と同じ色になるくらい腫らせてしまって見ていて正直いたたまれなかった。ただ地面と向かい合って涙を零して慟哭の義務を負っているかのようにひたすら、ひたすら。
俺。そして俺以外。誰もが己を神と呼ぶ力を有していないのは人間皆承諾済みで。それでもそれと同等の力を得ようとするのだから陽光に翼を溶かされる愚者は地に堕ちる。堕ちた愚者にかつて愛するものの隣を奪われた者に許された行為はすでに全てが終わった今、慟哭しかなかった。まるでそんなふうに。









偽物の楽園の最奥には、ほんの一欠けらの幸福な過去だけがひっそりと存在していた。
110301