「なまえ、テメェ、どういうことか説明しやがれ!」俺の怒声になまえは眉をひそめただけ。それはいつもの事だ。
「どしたの?ルイちゃん、そんな怒って」
「とぼけるんじゃねェ!!」
「…ルイ?」
「お前の男が、俺のとこに来たぜ」
「は?男?だれの」
「っいい加減にしやがれ!」
ガッ
「痛ッ」
「!!…わ、」
「…ねえ」
瞬間的に上げちまった手を詫びかけたところで、なまえの問いは鋭く俺に向けられた。「何のつもり?」
「こいつが、ルイさんのとこに来たんだよ!」
俺の後ろから下っ端が言い、担いできた男をなまえの前に投げ出した。その途端なまえの顔色がさっと青ざめる。男の名を呼んですぐ傍に駆け寄って膝をつく。――俺は見たくなかった。
畜生…。そう思った。
なまえの澄んだ目が俺を見上げる。
「あんた、こいつに何したの!?」
「見りゃわかるだろ」
「…っ最低!!」
「うぜぇんだよ!俺をだましてたくせに、よく言えるぜ!!」
「騙してなんかない!」
「知ってんだぜ。お前、こいつとヤッたんだろ」
立ち上がったなまえが俺の頬を叩こうと腕を振り上げた。俺はそれを片手で制す。目を怒らせるその迫力には並々ならぬものがあるが、それに怯む俺でもない。
「…あたし達そんな関係じゃない」
「カッ、よく言うぜ」
「ただの友達だよ!」
「黙れ!」
折れそうな手首をきつく掴めば、なまえの顔が痛みに歪んだ。
「もうお前を信用できねぇ」
「したくもねぇ」
「……別れようぜ、なまえ」