その後、リナは退学処分となり、二度と賊学に現れる事はなかった。賊学の退学水準って訳分かんないくらい高いから、これはかなり稀な事みたい。
(噂ではその前に賊学の女子達にめっためたにされたらしいが…知った事ではないね。)
「…マジで行っちまうのか?」
「うん!そういう約束だったから」
「…」
「泣くなって」
「泣いてねェ!」
私のベッドの上に腰かけてコチラを見上げるルイ。
ルイがこの部屋に来たのだってもう何か月ぶりで、こうしてまた日常が戻ってきたことが、正直まだ信じられない。
(もう、終わっちゃうけど)
自分の顔に影が差したのをルイに見透かされる前に、鞄に最後の荷物を詰めて振り返った。
「ブス」
「、………何ですって」
「無理に笑ってんのバレバレなんだよ」
「……る゛い゛」
「はあ。……ほら、来い」
広げられた腕に飛び込めば、すぐに大好きな温もりに包まれた。あったかい。ここにいると、どうしても泣きたくなるよ。ルイ。
「アメリカ…時差、17時間ちょいか」
「…ぐす、しんない」
「馬鹿。……電話する」
「お金かかるよ」
「知るか」
「…ふふ。あたしもする」
「おう」
「浮気しないでね」
「カッ…!なめんじゃねーよ」
「…アメフト、応援してるからね」
「…おう。」
「………大好き、ルイ」
「俺も…俺も、好きだ。絶対会いに行くからよ」
「うん。」
「お前も、頑張れよ」
「うん…!」
こうして、リナとの事件の一週間後。私は、両親達の暮らすアメリカへと旅立った。これは、私なりのケジメ。
賊学の皆のことは大好きだけど、きっともう昔と同じようにはどうしたっていかないから。でも、縁を切ろうとは思ってない。心が落ち着くまで、正しい距離で彼らを見守りたいと、そう思うのだ。
「がんばれ。……がんばれ、皆!」