「ふ、っふふふ!何を馬鹿な事言ってるの?リナが出てく必要なんてどこにもないじゃない」

「…」

「出てくのは、アンタよ。なまえ!」





なまえを追って校内に入れば、なまえどころか部員達の姿も見えない。
その時、メールの着信音が鳴り、俺は急いで携帯を取り出した。差出人はメグだった。
――教室。
本文はたったそれだけ。
俺は、心中をよからぬものが過るのを感じ、教室へ急いだ。


「!」
教室が見えるところまで来ると、メグやギン。その他の部員達の姿がぱらぱら見える。
かがんで教室のドアに耳を押し付けているようだった。
一人だけ立って壁に寄り掛かっていたメグが口元に人差し指をたて、親指で教室を指した。

「どうした」
俺も屈みながら小声で尋ねれば、傍にいたギンが神妙な顔つきを俺に向けてくる。
――中の様子が変なんスよ
俺は眉を寄せつつも、そいつらにならって耳をそばだてる。
中から聞こえた会話に、俺達は、文字通り耳を疑った。



「今日、あんたがリナの計画台無しにしたせいで、部員達も少しあんたの肩を持ち始めたのよ」

「アンタの計画…部誌を燃やして、あたしのせいにするってやつ?」

「分かってんじゃない。」

リナと、なまえ。

「リナ、アンタ仮にもマネージャーなら、あのノートの大切さ。分からないはず無いよね」

「はっはは!ばっかじゃない?あんなのただのゴミよ。賊学なんてカスがどこかに勝てるわけないじゃない」

リナの声

これは


「皆夢見ちゃって、ばーっかみたい!あっはっはは」

リナ、なのか・・・?


警報音が頭の中に鳴り響く。リナの高らかな笑い声と共に。
吐き気がした。

まさか

そんなはずねぇ


力を込めすぎて震える拳を押さえたのは、教室の中から聞こえるもう一つの静かな声。

「煩い。」


それは紛れもなく、なまえのもの。


「…本当に生意気な口をきくのね。味方なんか誰もいないのに」
「…」
「今日からはもっといなくなる。」
「…どういうこと?」
「今ね私の知り合いを呼んだの。襲ってもらおうと思って」
「!」

中にいるなまえの驚愕が、こちらにも伝わってくるようだ。

「あ、やだ、勘違いしないでよ。襲われるのは、あ・た・し」
「………意味分からない。」
「っふふふ!アンタを襲わせるのはいつでもできるもん。――私の計画はこうよ。」

教室の中でイスが引かれる音がする。
おそらく、リナが腰かけたのだろう。


「数人の男に襲われながら私はルイ達を呼ぶの」
「…ルイを?」
「男達にはもうお金を渡してあるからね。駆けつけたルイ達にボコボコにされた後、こう言ってもらうのよ。―――なまえに頼まれた。ってね」
「!」
「もう、言いたい事は分かったわね」
「…アンタッ」

「そ。これでアンタは今以上の苦しみを、"元"仲間から与えられるようになる。屈辱も…きっとね。ふふふ!あんたは賊学から去らざるを得ない!!

そうすれば、ここはリナの城よ…――!!」


「リナ」

なまえの声。

「あんた、逃げた方がいいと思う。」
誰から?それは考える間もなかった。
なまえの言葉は、俺の右足が教室の戸を蹴破るのと、ぴったり同時だったからだ。

「―――ル、ルイ……!!?」
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