足塚が、部誌を持って戻ってきた。
「あったのか、オイ!!」
「お手柄じゃねァか!」
「どこにあったんだ!?」
「…ああ、」
部誌を取り戻せて得意げになってもいいはずの足塚は、浮かない顔つきで俺の前にやってきた。
「葉柱さん、これを」
その部誌に目を落とすと、ノートの端がやや焦げ付いていた。
「…焼却炉か」
「ええ」
「よく見つけたな。」
「…」
この分ならまだ使えるだろう。
ほっと息を吐いた俺に、足塚は蚊の鳴くような声で告げた。
「あいつが…見つけたんです」
そうじゃねェか、と、心のどこかでは思っていた。
違えばいいと願っていた。
ノートが焦げてるって事は、つまりもう火は付けられた後だったんだろう。
たかがノートの為に、燃える焼却炉に手を突っ込んでそれを取り出すなんてバカを、あいつは普通にやってのける。
その姿は容易に俺の頭に浮かんだ。
「…なまえ、」
気付いたら、俺は駆け出していた。
袖を握るリナの手を振りほどいて。