焼却炉のある場所まで全力で疾走する。そうだ、今日は火曜日。
「間に合え――!」

死に物狂いで走ってようやく焼却炉に行き着けば、鉄製の扉が丁度閉められたところだった。

「はぁ、はっ…オジサンッ!!」
「ん?」
「それ、今、閉めたばっかり!?お願い開けて!」
清掃業のおじさんは難しい顔で首を振った。
「だめだよ君、もう火つけちゃったんだから」
「お願い、お願いします!」

あの部誌は、カメレオンズの命だ


「大切なものが、中にあるはずなんです…!!!」


腰を折って頭を下げれば、渋っていたおじさんは少し考えて頷いてくれた。鉄製の錠前を外して蓋が開けられる。
「…」
赤々と火の燃え始めているその中に目を凝らした。


「!」

…あっ、た


「あった!」
「何、どれだい?」
「あの黄色いノート!」
「ん?…ああ、あれか!待ってろ、今水をかけて火を消して…嬢ちゃん!!」
「ッ」

水?そんなのやってたら間に合わない。
焼却炉に腕を突っ込んだ私は、一発で的を捉えて素早く腕を引いた。熱い、熱!ちょっと後悔!

「アンタなんて危険な真似!」
「あつかったー!」

半ば叫ぶように言いながら足で踏んで火を消す。

「水道はすぐそこだ!ちょっと待てば良かったろうに!」
「ノートだよ!?燃えちゃうじゃん。それに水なんかかけたら文字が読めなくなっちゃう」

私の行為は荒っぽかったけど正解だ。

「良かった。…ほとんど無事だ」
安堵の息を漏らせば、清掃のおじさんもまた溜息を吐いて呆れ顔を向けた。

「そんなに大事なもんなのかい?」
「うん。…命に代えても」

無意識に言い切ってしまった。

やだな、
私まだまだマネージャーの鏡じゃない。
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