再開は突然だった。

「あれ、フェイ…?」

まだあの衝撃的な出会いから1週間も経っていない4月半ばの春の夜。街からアジトへ戻る最中だったフェイタンは、例の公園のブランコに座る人影を目に留めた。
声をかけるか迷っている一瞬で、気配を悟ったらしいなまえは顔を上げた。
涙に濡れた青白い頬を見て、一瞬言葉をなくす。

「…何してるか」

それほど多くを知っているわけではないが、これはこんな顔をしない人間だと思っていた。

「久しぶり!でもないか」
「質問に答えるね」
「…フェイこそ、どしたの?」
「帰宅途中」

フェイタンが簡潔に答えると、なまえはそっかと言ったきり口をつぐんだ。
言おうか言うまいか迷っているというより、純粋に物思いに耽っているようだった。

「…」
フェイタンは暇つぶしに彼女の相手をすることにした。
自分なりに、その涙の理由を予想してみる。


「自転車壊したから怒られたか」
「ふ、」なまえは緩んだ口元から息を溢して笑った。
「ちがうよ」
「じゃあ、何ね」
「死んじゃったの。友達が」